Elliott Smith : New Moon
ARTIST / Elliott Smith
TITLE / New Moon
LABEL / kill rock stars
DATE / 2007
TITLE / New Moon
LABEL / kill rock stars
DATE / 2007
1192。世間的には最後なのか。今後もまだ期待できるのか。すでに命日は過ぎ去ってしまったし、このがリリースされてからかなりの期間があった。盤のリリースが決まってから、この盤が今年唯一の生きる希望であったといっても過言ではない。2枚組み。当然ながらすでに今年一番聴いた盤になっている。これからどうおしたらよいのだろう、と思う。僕には、実はまだ1stの"Roman Candle"が残っていることを告白する。しかしそれは現時点で本当の最後の砦である。僕にはまだ過去に遡行して、Heatmeiserの盤に手を伸ばすというあがきが残っている。それはすでに逃亡中の給水になってしまうかもしれない。僕のなかであまりにも偉大だったというのが日々感じられる。否、もしかしたらこの不在への憧憬こそ、すでに逃亡しているものの核心かもしれなかった。幸いにも、ある程度のボリュームがあったから、それを少しずつ削り落としながら、微々たる糧としている。それは「まだ」可能である。しかし、もう一度いおう、今後どうするのか。君たちは言うかもしれない、彼が残したものは消えることはなくそれは永遠にそれ自体として変化しない、と。それにたいしてはイエス、といおう。しかし常に名づけられぬものが残るのは事実だ。彼があの平和を愛した奇人と同様に世界をえぐりとった、とはいわない。しかし彼は少なくとも少数の人間の核心をえぐりとった。そんな僕たちの中ではビッグ・ナッシングが行進している。それは今でもそうだ。そして、もちろん僕たちは何も理解していなかった。それだけに、それは泣く。それゆえに、それは泣く。誰かが死んだとき、僕たちはその人が自身を拡張した一部であったと身体的に理解しているとき、理性を超えて泣く。たしかに僕たちは理解していなかった。彼はまさに僕たちだったから、理解する必要などなかった。Elliott Smithの歌は、才能のない僕の歌だった。もしかしたら、僕が歌っていたかもしれない歌だった。僕は僕の一部に歌うことを任す。これは非常に身勝手な考え方かもしれない。しかしこれは僕の中で勝手に成立するゲームだった。僕は自分が好きな女の子に、あるいは友人たちにElliott Smithの盤を貸す。あるいは薦める。この身勝手なゲームはこれからも続くだろうか。この手柄を横取りするようなゲームは続くだろうか。しかし申し訳ないことに、この略奪ゲームは何の悪意もなく、どうしようもなく、僕の真実の一部をさらけ出すケームでもある。えぐり取られた僕の核心は、きちんとそのなかに備わっている。君は何もしていない、という理性的な批判は、どこまでも子供で身勝手なゲームには通用しない。さて次は君の番だ、というどこまでも大人で制度的なゲームが始まる。それは正当で正義で立派で善で素敵でお洒落なゲームである。
See You Later.
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