Tony Conrad with Faust : Outside The Dream Syndicate -30th Anniversary Edition
ARTIST / Tony Conrad with Faust
TITLE / Outside The Dream Syndicate -30th Anniversary Edition
LABEL / table of the elements
DATE / 2002
TITLE / Outside The Dream Syndicate -30th Anniversary Edition
LABEL / table of the elements
DATE / 2002
1149。衝動買いに近いものがある。1973年に発売されたオリジナルからtable of the elementsが30周年記念ということで放ったこの最高の盤を無視できようか。1993年にも一度同レーベルからリイシューされているので、10年後、そして21世紀に突入してこの盤が世に問われたというわけである。以前紹介したJonh Caleの盤(参考:1)ではあまり正体のつかめなかったThe Dreram Syndicateだが、La Monte Youngを中心に'Eternal Music'という標語を抱えた集団であったことが見えてきた。Tony Conradもそこに参加したというわけである。しかしこの盤は直接The Dream Syndicateにかかわりがないようだ。まさしくそのoutsideで行われた、それもドイツでもっとも重要な前衛プログラムであるFaustとの競演というかたちをとって行われた音がこの盤に封入されているのである。小生の男性生殖器はその形状を一時的に強化することを余儀なくされたのは言うまでもない。生まれ持ったやったるで魂が個々にきて発露、漏洩、大惨事といった具合である。Tony Conradの来歴を考えると、そこにはアヴァン・ミュージックとの接点が透けて見えてくる。The Velvet Undergroundはもちろんのこと、Faust、そしてGastr Del Solの両人へとつながるこの強風はそのサウンドに連続性を持たせる糊の役目を果たすようなヴァイオリンとして表象されている(実際に1995年に行われた再演ライブにはO'Rourkeも参加している)。この盤においてもM1からFaustのドラマーWerner Diermaierの不穏な一定のリズムの図に対する地として、つまり一般に考えられるリズム・パートとメロディ・パートの転倒を通して、そのヴァイオリンは鳴り響いている。あまりにも不穏な27分である。続くM2はやや動的なリズムへと変貌を遂げるとともに、ヴァイオリンが前景化する。しかし大きな起伏が起こるわけではない。緊張感が張り詰めるということもない。26分間に渡ってけだるく展開されるまさに「ミニマル・ミュージック」の名に適うものである。はじめと終わりと中間というナラティブの拒絶、そこに空間的に顕在化する意識の高さ。集中力の煮えたぎり。他に望むべきものは何もないのではないかと思わせる。2枚組みであり、2枚目はおそらくボートラ的なものだろうが、内容は濃い。table of the elementsの分厚いディスコグラフィーなど、もろもろ資料価値の高いものが添付されており、レーベルがこの盤をいかに記念碑的に捉えているかも理解できよう。それほどの熱量と、革新と、何よりもかっこよさがこの盤には詰め込まれている。買えるうちに買うのが正解かと。傑作。