Charlotte Hug / Chantale Laplante - Brilliant Days
ARTIST / Charlotte Hug / Chantale Laplante
TITLE / Brilliant Days
LABEL / for 4 ears
DATE / 2003
TITLE / Brilliant Days
LABEL / for 4 ears
DATE / 2003
1151。通常の人間ではありえない4つの耳をもつことをリスナーに要請する素晴らしいレーベルfor 4 ears、個人的にかなり好きなので積極的に集めているのだが、最近あまり見かけなくなった気がする。Günter Müller関連の盤も少なくなってきたし。この盤は全5曲、for 4 earsであるから当然インプロものであり、会場と日時の異なる2つのパフォーマンスを収録している。Chantale Laplanteがラップトップ、Charlotte Hugがヴィオラとエレクトロニクスという分担になっている。想像に難くない不穏さと、奇妙なプリミティブさが発散された演奏は、緊張感のあるものというよりも、弛緩しきったある種の物語のアナロゴンとして機能しているように感じられる。音に現代的な洗練があるとはいいがたく、なんとも80年代な装置を想像させずにはいないが、ヴィオラという生の弦楽器が蝿蚊の舞うような音を出しながら、電気信号との邂逅を果たしているのはなんとも倒錯的に感じられる。この手のインプロではどういうわけか弦楽器が採用されることが多いのだが、楽器の潜在的な可能性が関わっているのだろうか。アルバム全体に付されたタイトル"Brilliant Days"が楽曲のどの部分に反映されているのかわからないが、たとえそれがアイロニカルな響きを持つものであったとしても、このような実践はリスナーに容易な幸福を保障しないのは明白である。しかしそれでも、粛々と困難な幸福にコミットしていくという一種のマゾヒズムがアニマルの領分を飛び出した人間の営為といえるだろう。