Moebius & Renziehausen : Ersatz
ARTIST / Moebius & Renziehausen
TITLE / Ersatz
LABEL / pinpoint records
DATE / 1990/2007
TITLE / Ersatz
LABEL / pinpoint records
DATE / 1990/2007
1097。Moebius関連第6弾。残すところ2枚で90年代のMoebiusの動向に触れていくことになります。さてこのたびMoebiusが相方に選んだのはご近所にお住まいの画家Karl Renziehausenです。正直、RenziehausenはMoebiusとのコラボ以外に音源を残していないようなので、まさしく誰やねん、という感想がもれます。このあたりは正直captain tripの思惑にどっぷりはまってしまった気がしないでもない。それほど重要盤という印象もないので。Moebius好きならどうぞ、といったところか。Karl Renziehausenでgoogleのイメージ検索を行ってもErsatzシリーズのジャケ写ぐらいしかめぼしいアートワークがでてこない。なんなのだ。盤自体はかなりシンプルなもので、Moebiusの色も方法論的なものしか聴こえてこないように感じられる。びよよーん、ぱにょーん、きよよん、ふぁうーん、びしびしびしびしっといったM2なんか面白くないし。しかしM3なんかひょよひょよひょよと夢幻装飾が施されながら面白いまとまりを示しているようにも感じられる。時代は90年代にはいり、「テクノ」という名称のもとすでに確立されてしまったスタイルが蔓延するなかで、Moebiusのように極端に抽象性へと向わない作家はその地位に危機が迫ったのは間違いない。すでに古びたものとしてのレッテルが貼られ、常に洗練とともにあることが要求されるテクノロジー音楽のなかで、懐古されるのは、その音素材であり、構成ではなくなってしまった。複雑さが増していくなか、そして旋律への嗜好性も変化してしまうなかで、Moebiusがとる方法はどこまで可能だったのか。M3にはその答えが示されているようにも思う。僕自身、ややスキゾなものを抱えながら、単に「ストレンジ」と呼ばれることでその個性を確保してやるというのはMoebiusにとっては不本意なものだったのではないかと考えるので、あらたなMoebius像を再構成することが求めていきたいと思ったり。思わなかったり。