Missy Elliott : The Cookbook
ARTIST / Missy Elliott
TITLE / The Cookbook
LABEL / atlantic
DATE / 2005
TITLE / The Cookbook
LABEL / atlantic
DATE / 2005
1098。ヒップホップ・プレイヤーのなかでも僕が大体盤を持っているのはMissy Elliottぐらいである。何かのインタビューでAphex Twinが今もっともコラボしたいということで名前が言及されていたことがあるが、虚言癖のあるRichardさんのことだから、おそらくアイロニーを響かせていただろうとも推察したが、聴いてみようと思わせるには十分な原動力であった。また、電子とヒップホップの重要な接点は、数多くの電子作家たち、たとえばAutechreやFour Tetなどが、そのヒップホップ愛を吐露しているところにも現れている。先行リリースされたM4の'Lose Control'を聴けば、Cybotronの'Clear'が印象的に使われているというところからもそれは明白である。先端のビートを作り出しているのは、Missyの盟友でありこの盤も数曲担当しているTimberlandをはじめとしたプロデューサーたちであるのは明白で、それが看過されるとき、聴かず嫌いを大量に生産することになる。ユース・カルチャとの明白な結びつき、それが構成要素の半分以上をなすヒップ・ホップというスタイルはそれゆえに、リスナーを囲い込むことによって、その人物のアイデンティティを主張するひとつのツールとさえなりうる。「ヒップ・ホップが好きである」ということはそれゆえ常に周囲を伺うようにもらされる場合もある。冒頭につける「勘違いしないで欲しいんだけど、」という枕言葉はヒップホップ愛に対する侮蔑でもあるし、極力避けられるべきである。さて、「オールド・スクール」という時代をあらわす用語が文脈を無視して適用されるほどMissy Elliottの方法論はシンプルであるがゆえに、常にヒップ・ホップの萌芽期における実験的な音作りを聴くことができる。この盤でもそれは代わらない。ジャケが与えるのもそのようなオールドな印象であろう。昨今のMissyは特にそのようなイメージを積極的に引き受けるようになったようにも感じる。今回回りを固めているセレブリティのなかには、The Neptunesの名前もある。そのほかMary J. Bligeといったおなじみどころも招きいれ、Missyができる最高の布陣で挑んでいるといえるだろう。それだけにするりと抜けていく。素敵なトラック、悪ふざけ。もろもろあわせてやはり、常に新譜を期待させるMissyである。