Moebius & Plank : Rastakraut Pasta
ARTIST / Moebius & Plank
TITLE / Rastakraut Pasta
LABEL / sky records
DATE / 1980/2007
TITLE / Rastakraut Pasta
LABEL / sky records
DATE / 1980/2007
1088。日本のcaptain trip recrordsというところが執心してジャーマン・プログレ電子風味(いわゆる「クラウト・ロック」)周辺の音源をリイシューしています。その一環としてMoebius関連の諸作がちょっと前に出ました。Moebius関連の前は元Tangerine DreamのConrad Schnitzlerの盤をリイシューして話題になりました。それ以前からcaptain tripは関連盤のリイシューを行っていることはいうまでもない。さらに、まもなく2007年9月にClusterのsky records音源がリリースされるということで、音楽流通ににおいてますます恵まれた国日本というものを痛感させられるとともに、過去の作品が紙ジャケでリリースされていくなかでそれが枯渇する将来へと意識が向かいます。まあ今回のMoebiusの諸作も各1000枚限定という部分では所詮好事家用のリイシューとして片付けられるのかもしれないが。それは置いといて。Moebiusの諸作のリリースは来るべきClusterへの布石であり、その片割れとして、名前もどことなく響いている人物だった。僕自身、ジャーマン周辺に目を向けたのはNeu!が好きだった頃であり、またBrian Eno文脈でもつながれているのはいうまでもない。一応初期Kluster(CではなくK)ではSchnitzlerがメンバであったということは断っておく必要があるかもしれない。EnoとClusterがコラボした名盤"Cluster & Eno"と"After The Heat"をはさんだあと、その頃Enoとともにニューウェーブの重要作家たち(DevoやUltravox)に関わったConny Plankとともに作り上げたのがこの"Rastakraut Pasta"である。ちなみにNeu!の諸作をプロデしたのは何を隠そうPlankなのである。前置きが長くなった。そして個人的にもあまり事情に通じていないので記述がわかりにくい。今回リイシューにあたり、ライナーをつとめた野田努氏によれば、Canの"Flow Motion"よりも早くはないけれどもレゲエの要素を取り込んでいるという。そしてさらにこの二人による「この実にユーモラスなレゲエもどきのアルバムが時代のなかで風化することのない輝きを持っていることは紛れもない事実なのである」。たしかにKraftwerkとともに、この頃のジャーマン・エレクトロニクスを作り上げた偉大なる先達の盤として歴史化されているこの盤が、現在性をもって刺激を求める若者たちの心に刺さるかはわからない部分がある。やや音としての鮮度は低下しているというのは、技術と寄り添う電子音楽の宿命であろう。しかし僕個人としても、その部分とは異なる部分で聴くべき場所があるよう思う。今のように音の洪水が飛び回るわけではないけれども、きちんと構成がとられた音のつむぎはそれ自体として独自の快を保証してくれるだろう。それではしばらくのあいだMoebius関連の盤が続きます。お楽しみにね!