Public Image Limited. : Flowers Of Romance
ARTIST / Public Image Ltd.
TITLE / Flowers Of Romance
LABEL / virgin
DATE / 1981
TITLE / Flowers Of Romance
LABEL / virgin
DATE / 1981
1017。3曲のボーナストラック入りを買いました。 Sex Pistolsを脱退後、まだ20代そこそこのJohn Lydonが結成したPublic Image Limited。その衝動が抉り取った80年代は、まさにこのジャケにおいて象徴される、という。いわゆるニューウェーブとよわれる時代区分に於いて、そのヒロイックさとダブをごってりと導入したその方法論的特質が際立った存在であるPublic Image Limited。前作では存在したベーシストが脱退し、よりダブダブした方向性へと進むわけです。この点はテストに出ます。さて、色々なことを踏まえて同時代どころか昨今のN.Wブームにも乗り遅れていた僕が、ようやくたどり着いたこの盤ですが、もちろん様々な予断があったわけで、そのために純粋にこの盤の衝動に出会うことができなかったというのがある。Sex Pistolsというパンクにおける偉大な塊とThe Pop GroupというN.Wにおける偉大な塊を先に知っており、それらを統合する形でPublic Image Limitedへと挑んだために、当然のしっぺ返しにあう。否定的にいえば、すっかすかの音数と、あまりにも間延びした展開。儀式的な暗さによって、僕は期待したものとはまた別の谷間へと押し込まれる。タイトル曲でもあるM4などはその傾向が顕著であり、プリミティブという誤解を含んだ形容を用いるならば、そのドラミングもボーカルはまさに西欧的ポピュラー音楽からの逸脱が目論まれ、プリミティブな形式を搾取することによって、閉塞的な中心主義を打破される、という幻想に駆られている。幻想、とあえて言おう。あらゆる企図は常に反省的にその有効性をかんがみるべきなのである。しかし、この幻想にとらわれるということこそ、まさに無批判的であることの幸福を享受する事ができる唯一の方法である。楽しい事など実は何もないのかもしれない。しかしそれを考えることが、いくら知的であっても、誰も救えないどころか、自分自身をより追い込むことに他ならない。しかし、一度その罠にとらわれたとき、もはや目を瞑るのが困難になるのである。Flowers Of Romanceという言葉は、呪文のようにわれわれを眠りに誘い目を閉じることを可能にしてくれる、そう信じることが、何よりも僕には必要である。