Snark : Angstrom
ARTIST / Snårk
TITLE / Angström
LABEL / tout l'univers
DATE / 2000
TITLE / Angström
LABEL / tout l'univers
DATE / 2000
1001。2000年。いい感じで「ポストロック」という用語も熟成し、カテゴリを強く主張し始めると同時に、その意味が拡散し始めた時期なのだろうか。「エレクトロニカ」という用語と同様に。フランス出身の作家が作り上げたこの盤は今では明らかに小品として片付けられていそうなものだが、日本盤までリリースされていたということを考えると、非常にテンポラリーな現象が日本の音楽市場に蔓延していたといえる。僕が当時この盤を聞いていたら、「ポストロック」と呼ぶだろうか。今ではそのような用語の有用性も信じていないのだが、おそらく「エレクトロニカ」文脈におきなおしたのではないだろうか。まあどっちでもいいが。人力性が介在していることが、強く自動性を否定するかたちである種のオウセンシティを主張するがそんなことはあまり本質的でもないだろう。がちゃがちゃとした擬態の印象は、おもちゃ箱という便利な比喩によって領域を確保し、「ニカ」の色が付与されるというのが勝手な感想である。女性ボーカルの伸びが暗闇の踊り子による北国ののりを感じさせるが、意外とそれと背景も調和しているようで、聴いていて悪いきはしない。小品といっても内容はやんちゃに何かを成し遂げようという意気込みを感じて楽しい。たしかに断片が飛散していくさまがJoan Of Arcを連想させる瞬間もある。こんなこともできるし、こんなこともできるし、という手作り感覚は個人的に好きである。なんとなく何回も聴いたM12の'Sweet Terrorist'という曲が空耳で「すべての弟子」と聞こえるところばかり印象に残っている。たまに盛り込むギターの展開やテクスチャがTortoiseのフレイバを含んでいたり、ドラムがBeatlesのあれっぽかったりと謎解きで楽しむこともできるのかもしれない。市場の冷たさは一気にこのかたを過去の存在にしたようで、かなりいらだたしい部分もあるが。ジャケのぽさも含めて見つけたら適切に文脈化してあげてください。