Buffalo Springfield : Buffalo Springfield Again
ARTIST / Buffalo Springfield
TITLE / Buffalo Springfield Again
LABEL / atlantic recordings
DATE / 1967
TITLE / Buffalo Springfield Again
LABEL / atlantic recordings
DATE / 1967
1966年に結成し1968年に解散するという短期間のパフォーマンスが、遠い島国でも高い評価を受けるというのは今ではなかなか考えられないことかもしれない。Buffalo Springfieldのその一瞬の一振りは今でも奇跡的に響く。僕が敬愛するNeil Youngが在籍したという理由よりも、遠回りしながら少しずつ偉人たちに触れていくという過程で幸福にもようやく僕の手元の落ちてきたわけだ。というかこの手の盤は、中学ないし高校の頃に聴いておくことが要請されると個人的に思っており、そのことを考えると今聴くことが積極的にヒロイックな行為にはならない。しかも耳が腐りもはや良い音楽などという漠然とした評価を与えるにしても信頼に欠けるということで評判の僕が、今この盤を聴いても、という危惧もあった。しかし長年に渡って多くの人々の検討を経てきた名盤の強力な一撃というのはかびかけた鼓膜を一時的であれ一掃する力を持つ。Stephen StillsとNeil Youngという2人が対立しながらも作り出していくこの2ndはオリジナル3枚のなかでももっとも評価が高く、そしてそれに見合うだけの魂を持っている。それはこの90年代以降の小手先と表面の時代の音楽とともに生きる僕にも伝わっている(そう信じたいだけかもしれないが)。「普通によい」、この奇妙な形容は論理を超えた何か、すなわち脳みそを越えた何か、あるいは身体ともかけ離れた何か、魂とのみ関わりをもつフィクショナルな何かである。それは多方面から構築されたものであるが、しかし、それを提供する作品が説得的であることによってあえて考察することを拒むことが可能となる。そのようなかんぐりは必要がない。やってもいいが、僕はしない。それで終わり、そしてこの盤を聴く、と。いい曲しかなくて残念だ。