NON : Receive The Flame
ARTIST / NON
TITLE / Receive The Flame
LABEL / mute
DATE / 1999
TITLE / Receive The Flame
LABEL / mute
DATE / 1999
結構人よりも広範囲なCDを買うほうなので、必然的に人よりも広範囲な情報を集めるわけです。盤屋に目的もなく行き、いつものように適当に手をとって、探していた作家の盤、探してたレーベルの盤、ジャケで買いの盤。まあ色々ありますけれども、一番厄介なのが、これ知ってる気がするなぁ、という作家やレーベルの盤です。そしてこのNONというのはそのうちでなんとなく知ってる気がする作家の盤のほうになります。いろいろな情報が入ってくるという前置きは、たとえば評判の良くない盤もありますし、ジャンルが純然たるノイズの時も有ります。ノイズも追っていないわけではないのですが、まだまだ新参者であるから、なんとなく知っているという程度の作家よりも僕でも知ってる文脈で追いやすいビッグネームが望ましいのです。もちろんこのNONことBoyd Riceはなんとなくでも名前が頭に残る作家ですから、キャリアのある人です。70年代中盤から活動をはじめ、muteの電子において中心的な役割を果たしていました。世界的なバービー人形のコレクターでもあるらしいBoyd Riceですけれども、そのようなけばけばしさというよりも妖艶な耽美性を、少なくともこの盤では披露している。かなり濃密なサウンドスケープを展開しており、食傷気味にするには十全の効果を発揮している。胃にもたれる音である。もちろん高品質な粒子が凝縮しており、きらびやかであるが、一人で聴いていると、何も手がつかなくなるし、誰かしらと一緒に聴くには吐血するほどのムード過剰である。荘厳すぎる面持ちで、戦死者を埋葬する花束のように。