Morphine : Yes
ARTIST / Morphine
TITLE / Yes
LABEL / rykodisc
DATE / 1995
TITLE / Yes
LABEL / rykodisc
DATE / 1995
ギターの存在を拒絶し、ベースとサックス、そしてドラムという変化球編成によって登場したMorpine、正直誰やねんという気持ちと、そんな名前聞いたことないという心の疼きをおさえながら、かのPiero Scaruffiが非常に高評価を与えているという理由で買ってみた。Nick CaveやTom Waitsといった偉大なる先達の名前を引き出されながら評されているのだが、アメリカのロックの伝統にそれほど明るくない僕としてはこれがそうなのかという感想しか抱けない。この盤は3rdで、もっとも評価の高いのは1stの"Good"という盤らしい。それにしても、この盤の尋常じゃないほどの回顧主義には辟易してしまう。この手の盤は単純に説明できない個人的趣向によってあまり美意識を感じないのだがどうだろうか。古臭いという言葉は大嫌いだが、その言葉で片付けてしまいたくなるこの盤から僕にとっての快楽を引き出すのは非常に困難に感じる。おそらく原因は音の加工の問題なのだろう。あの上っ面だけの、ある色眼鏡が与えられる80年代の音とでも言おうか。何かしらいびつで、それほど感情を揺さぶらない旋律にまみれていたあの音楽。いや、このような意見は昔の僕たちの意見であって今思おうと80年代というのは非常に重要な時代である。しかしこの間違った認識がまさしく与えられるとすれば、それはこの盤のような音楽に対してだったのだと思う。あまりにもエッジのないサックスの音はどうしても間延びしているように感じて耐えられない。ジャズで使用されるとき、サックスは狂気の楽器となるが、単純なリズムと人工的加工のもとにさらされたサックスというのは甘味料の味がする。というかあまり言いたくないのだが、1995年という年代を考えると、どうしても諦念によって首を振りたくなるのだが。僕の浅薄な感性を正しく導いてくれるMorphineを擁護する意見を求む。予定としては1stも聴いてみるつもりだが。