Holger Hiller : As Is
ARTIST / Holger Hiller
TITLE / As Is
LABEL / mute records
DATE / 1991
TITLE / As Is
LABEL / mute records
DATE / 1991
80年からPalais Schaumburgを結成し、その後ソロへ。メンバにはThe OrbでおなじみのThomas Fehlmannがいました。ata takやmuteなど、ノイエ・ドイチェ・ヴィレを支えたレーベルを中心に活動した重要な作家であると思います。そんなHolger Hillerの3rdがこちら。実は日本アニメ史上に残るうる星やつらの名曲「ラムのラブソング」などを作曲した小林泉美の元旦那さんだそうです。ずっと好きだった思っていた名曲の音楽性が奇妙なところでつながってくる快感というのはなんとも形容し難いものがある。自分の祖先のルーツをたどるというのはこのような快感に由来するのだろうか。いや、何かしら因縁めいた恋愛に似ているのかもしれない。この盤の奇妙さと、ドイツの電子に由来する堅牢なつくり、そして人を惹きつける旋律をもっているように思う。インダストリアルという心構え、そしてその打ち付けるビートと機械音から解き放たれて、伝統的西洋音楽を学んだのであろうことが伺える方法論をもこなしていくたたずまい。自らメインストリームから逸脱して新しいものを切り開こうとする活力を感じる。惜しむらくはこの盤が、91年というすでにこの手の音楽がムーブメントとしては片付けられ始めた時期であったということか。この電子使いは底辺でAphex Twinなどの感性にも近いということを指摘しておく。確実に良い盤だろう。