Thomas Brinkmann : Tokyo + 1
ARTIST / Thomas Brinkmann
TITLE / Tokyo + 1
LABEL / max ernst
DATE / 2004
TITLE / Tokyo + 1
LABEL / max ernst
DATE / 2004
このブログでmax ernstを紹介するのは2枚目になります。そしてもちろんThomas Brinkmannはmax ernstの主催者でもあり、そのセンスの良さには注目すべきところがあります。リリースし始めた時期はそれほど早くはなく、90年代後半からで、mille plateauxの"Modulation & Transformation 4"と、そのシリーズを引き継ぐ"Clicks & Cuts"の2、4に参加したり、Richie Hawtinの超絶リミックス盤"De"でも素材として彼の曲が使われていました。ストイックに反復される一連の部分によって成立しているのはクリカツの構成に近い部分があるが、サンプリング素材がレアなままむき出しになって把握できる部分があり、編集の傷跡をはっきりと聞き取る事ができる。おそらく雑踏のようなこのサンプリング素材が死の町トーキョーから採取されたものなのだろう。チョップチョップチョップによって歪んでゆく人の声。これほどパラノイア的に、線上の意味を構成しない音素となった声は恐怖を喚起する。まさにトーキョーの雑踏。ミニマル・テクノという反復する事に関する形式上の名称が与えられた音楽であるが、その尋常じゃない意味の充実とそこから帰結する無意味の生成によって、トーキョーを演出する。トーキョーを文化論的に見つめる場合に面白い素材になるかもしれない。The Booksの名曲'Tokyo'におけるセンチメンタリズムなど皆無であるが、それだけに、電子と編集による冷徹なBrinkmannの顔がぎらぎらしながらトーキョーを踊らせる。