Flim : Given You Nothing

ARTIST / Flim
TITLE / Given You Nothing
LABEL / tomlab
DATE / 2002

Enrico WuttkeによるFlimの1st。1993から2001の間に製作されたものらしく、初期音源集の役割もになっているのかもしれない。というか93年ってすごいけど。まあおそらく、何度も何度も手を加えてミレニアム・クオリティに仕上げているのだろうが。tomlabはThe Booksが話題になるあたりからLサイドが敏感に反応しており、実際に本作も含め2ndの'Helio'もすでにレビューされているのでそちらも参考になるでしょう。ピアノなどの鍵盤系をメインに電子装飾を施すという作風によって比較的オリジナリティが確保されていると思われる。tomlabの歌モノでないほうの路線である。ある程度の旋律性はピアノの採用ということからある程度推測できることであるし、難解なものに堕さないところが、当時のtomlabクオリティだったともいえる。非常に心地よいポップス性を確保し、牧歌性も纏わり着かせ、「トロニカ」というものにある種のイメージを付随させるにいたるわけだ。すなわち、まるまるっとしてころころっとしてやさしくて、といった感じ。その感じ。現在はtomlabを離れているようで、あまり名前も見なくなったけれどもまだ有効性を保っているのだろうか。きらびやかな印象を携えて、今更買ってどうする、というLサイドからあがってもよさそうな言葉を尻目に、それ相応の現在性もあるかもよ、と去り際に言い残す、そんなヒロイックな態度をとらせるかわいらしさがある。どうぞ。