Tortoise : It's All Around You
ARTIST / Tortoise
TITLE / It's All Around You
LABEL / thrill jockey
DATE / 2004
TITLE / It's All Around You
LABEL / thrill jockey
DATE / 2004
[13-71]。過去盤レビュー。僕個人としては、初めてリアルタイムで買ったTortoiseの盤。もはや、拡散したポストロ・シーンのなかで、特に何かでかいことをやれと期待されることもなく、淡々と進み始めた5th。"Standards"の仰々しさからも解放されているような安定感を感じる。ボーカルを導入したってことで、これまでとの路線変更が強調されたふれこみだったように思うけど、M2でKelly Hoganなる女性のアーアーいってる声がボーカルといえるかというと微妙。声楽的な意味でのなり方である。楽器みたいなもんか。M1はTortoiseらしいストイックさが際立つ名曲となっているけれども、M3なんか、やたら叙情的で、もちろん凡曲ではないのだけど、どうもTortoiseに求めるべきアプローチではないような。なんかスローコアで鳴らす面々がよく使いそうな手で、いまさらかよって雰囲気。N4ではちょっと黒さが戻って、お帰りTortoiseって感じが再びしてくる。旋律のはさみ方と、音響的にブーストされたリズムセクションがお洒落でかっこよい。あとは、そうだな。ポップスですよね、明確で、分かりやすく。軽やかです。ライブでやってもかなりあがる曲が多く、横のりでもいけてしまう。Tortoiseという範疇ではムード歌謡のようなものです、M1を除いて。ラストM10もまずまず良い攻め方をしてる。展開も分かりやすく、ここだよって明示されている。ここまでリスナーに優しいTortoiseってのが、果たして求められているのか、それともシーンが雲散霧消したことにより、より自由に制作し、リスナーをかき集めようとしているのか。何にせよ、新譜が出たら買ってしまうユニットですね。正直なところ、Tortoiseに次の話が期待できるかと問われれば、首を振ってしまう現在の自分がいるけど、彼らはSonic Youthと同様に、最高にかっこよいロックバンドなのだから。