Frank Zappa and The Mothers of Invention : The Grand Wazoo
ARTIST / The Mothers of Invention
TITLE / The Grand Wazoo
LABEL /bizarre
DATE / 1972
TITLE / The Grand Wazoo
LABEL /bizarre
DATE / 1972
[12-71]。軽快なわかわかギターのイントロから印象的に導入されるZappa先生とThe Mothersによるインスト中心の傑作。本当にこの時期の先生の創作への欲望は底なし泥沼やでー。13分を超えるタイトル曲のスリリングさったらないわけだけど、もともとはM1とM2が逆です。というか、僕が買ったヴァージョンが異質なのかもしれない。書誌的にZappa先生の諸作を追う元気はちょっとないのが正直なところ。"Hot Rats"から始まったインスト傾向は、当初先生のほぼ1人舞台だった試みが"Waka / Jawaka"を経てどんどん拡張し、本作においてはビッグ・バンド形式へと移行。Zappa音楽団として華麗さ、管楽器たちが気分を高揚させてくれるところはまるでオーケストラを聴いているかのような気分がするわけです、はい。もうめまぐるしく変わる展開、既存のABサビなどといった概念は遠くかなたに投げ捨てられて、全脳細胞のアイディアを惜しげもなく投入していくイメージ。それでも才能ってやつは、枯渇しないから才能なわけで、先生なわけで。M2で見せる即興的なアプローチでさえも、Zappa的なお洒落ジャケットを身にまとっているかのように錯覚されるし、M3もM1の流れのなかにあるような主題がジャケットの戦いを鼓舞するかのよう。楽しい。ただこのM3があることを踏まえるならば、M1とM2の入れ替えがどちらがよかったかというと難しくなるなあ。ま、それは置いておいて。M4では、大仰でおどけた作曲家というよりも、ギタリストとしてのZappa先生がイントロに顔を出しつつ、その後は、 アフロな名プレイヤーGeorge Dukeのキーボードソロが炸裂しまくりのいかつい曲へと展開。もはや休みどころがない物語の強さの箸休めとして機能することさえ放棄している。また戦場を鼓舞するようにホーンが鳴り響くしね。で、ラストM5が焼け野原に漂う郷愁を演出。見事に終わった感覚。強烈なまでにエンディング。なんだこれ、もう1枚として、物語として完璧じゃないか。たった37分。もうこれ以上の長さで盤を作るってことは野暮であるし、どんなに曲数を増やしてもたった5曲で達成された本作の濃度には勝てないだろうな。あーあ。40年以上前だ。