The Shadow Ring : Hold Onto I.D.
ARTIST / The Shadow Ring
TITLE / Hold Onto I.D.
LABEL / siltbreeze
DATE / 1997
TITLE / Hold Onto I.D.
LABEL / siltbreeze
DATE / 1997
1994年から10年のあいだイギリスで活動していた実験ユニット、Graham Lambkin、Darren Harris、Tim Gossという3人からなる、でもsiltbreezeはAlan Lichtの盤などをリリースするアメリカの実験レーベルだったりします、ポエトリー・リーディングのような低音の語りはときにThe Velvet Undergroundのような時代性を帯びているように感じる、アコースティック・ギターはフレーズを反復し、人力でつまみを回すのが手に取るようにわかるシンセサイザーを用いた非常に単調な音が声に絡まると、脱力感よりも悲壮感が漂う、本当に90年代後半に製作されたのか疑問を投げかけたくなるけれども、これはこれでニッチを埋める表現なのかもしれない、今更やる必要なぞあるのかという問いは使用して、あらゆる付加的な情報を止揚して彼らの意図を汲み取ろうとすれば、時代背景その他なぞ糞食らえである、しかしそれにしても不思議な魅力のある作品である、複雑なわけでもなければ現在尖鋭化を続ける音響的配慮がなされているわけでもない、少なくとも僕にはそう感じる、まさに前衛を回顧するディフェンダーのような埃っぽさを感じるにも関わらず妙なキャッチーさを伝えてくる、結構オススメできるするめ盤だと思われる、刺激的でも恐喝することもない、ただ流れていることが許されるのはこのような盤なのかもしれない、その個性的な存在はその強烈さゆえに(あるいは見かけ上の凡庸さゆえに)後続を許さない