Fiona Apple : Extraordinary Machine
ARTIST / Fiona Apple
TITLE / Extraordinary Machine
LABEL / sony bgm
DATE / 2005
TITLE / Extraordinary Machine
LABEL / sony bgm
DATE / 2005
現在もっとも重要なシンガーを挙げるとすれば、その一人にFiona Appleが含まれることは間違いない、彼女が1999年にリリースした日本盤でいう『真実』はその長大な真のタイトルと「私は音楽」というあの扇情的な言説を伴って陳列され、多くの人間をとりこにした、凝りにこった中毒性のある楽曲はその存在感を世界にアピールした、僕の記憶が正しければ、当時のインタビューか何かで彼女は「私は次のアルバムを出して20歳で死ぬの」(年齢はうる覚えだが)という若さという病気に犯された発言をしていたが、それでもその伝説たろうという意気込みを背負っても違和感のない歌い手であった、しかし彼女は幸か不幸か2005年に3rdであるこの盤をリリースしている、どの程度話題になったのかはっきりとしないが感覚的に2ndほど騒がれなかったのではないか、すでに製作されていたにも関わらず、レコード会社とのごたごたからお蔵入りになってしまったという複雑な敬意のなかで彼女は生き残った、M1とM12のみ前回と同じJon Brionがプロデを行ったようだが、そのあいだはすべてEminemなどを手がけたMike Elizondoというのは注目すべき裏事情のひとつかもしれない、BrionとFiona Appleの関係は少なくとも2ndのときに蜜月にあったように思われる、その結果二人のコンビは最高の名盤を生み出したのである、もちろんこの盤でも十分にFiona Appleの強さは伺う事ができる、卓抜したボーカルの技術と語りかけるような表現力は他の追随を許さない、またこの盤にはファルセットによってやや女声らしい高音の側面を強調するという部分も見られるようになった、非常に聴かせる盤であって、本当は2005年にすぐに耳にすべきであったが、なんだかんだで1年たって手に入れ、07年にこのレビューを書くことになってしまい彼女に申し訳ないと思っている、彼女は刹那ではなく、これからを手に入れたわけであるから、また何枚もさらに向上していく作品をとおして、伝説に名を刻めばよいと思う、彼女にはその力があるし、何よりも精一杯の美しさがあるから、名作です