XTC : Skylarking
ARTIST / XTC
TITLE / Skylarking
LABEL / virgin
DATE / 1986
TITLE / Skylarking
LABEL / virgin
DATE / 1986
2015。過去盤レビュー。いわゆる名盤。Todd Rundgrenがプロデュースで、めちゃくちゃ揉めたとかなんとかいう1枚だった気がするけど。エクスタシーを感じるXTCの本当の実像を僕は知らない。それとは異なる音像を示しているというのがもっぱら本作の評価であるわけで、8thか9thか知らないけど、これだけ取り出してXTCとは、と自信たっぷりと語ることはできない。僕自身XTCを知ったのは1999の"Apple Venus Volume 1"で、底からXTCの一番評判がいいと思われた本作を手に入れたに過ぎない。ただ、実像云々はどうでも良いけど、聞きまくれる程度に、名作だったのは確かだった。80年代の妙なクリアさを漂わせてはいるものの、気配りを忘れる程度のメロディとアイディアを提示している。それぞれの曲は卓抜な構成を持ち味にして、醤油をかけて、のりで巻いている。個人的にはストリングスが入ってればなんでもかんでも良い曲に聞こえたから、The Beatlesのエリナリグビーを参照するまでもなく、'1000 Umbrellas'とか良いなと思ったりした。'Dying'というコンセプチュアルな流れを作り出す終盤の曲も悪くないよなぁとか思ってたと思う。いろんなものを強く信じていたと思う。21世紀を迎えるまで。精神は20世紀で整い、そのままで止まる。時代を超えられなかった僕の魂は簡単に、閉じ込められている。コーラスは解放されることがなく、ぐるぐると頭を廻り続けている。何も得るものがないこの10数年において、何かを得たかのような自信を手のひらと脳みそに刻み続けることができた当時を振り返ることは多い。しかし、記憶障害のように何も覚えていないというのが実情だ。なんとか、かんとか、外部記憶装置を飛び石として利用することで、どうにかこうにか、引き出そうとする記憶の断片たちをかき集めても耳糞ほどにもならないという。なんということだろう。どこかで見落とし続けた無数の分岐点で、僕は立ち止まるという選択なく、左や右や上や下を気の向くままに進み続けた。