Wilco : Yankee Hotel Foxtrot
ARTIST / Wilco
TITLE / Yankee Hotel Foxtrot
LABEL / nonesuch
DATE / 2002
TITLE / Yankee Hotel Foxtrot
LABEL / nonesuch
DATE / 2002
1759。以前紹介した盤"Sky Blue Sky"。Glenn Kotche、Jay Bennett、Jeff Tweedy、John Stirratt、Leroy Bachという布陣で作成された。単独公式フルとしては4thくらい。本作によって、Wilcoは新しい次元へと進み、メジャーの体格でもってグラミーを勝ち取る力を身につけていく。そこにいるのは、いつもわれらがO'Rourkeなわけだ。Jeff TweedyがO'Rourkeの"Bad Timing"を気に入り、O'Rourkeが紹介した気鋭のドラマーGlenn KotcheとともにLoose Furを結成したのは有名な話。そして、Tweedyは本プロジェクトのWilcoにまでその流れを導入した。それまでドラムをたたいていたKen Coomerの変わりにGlenn kotcheが入り、O'Rourke自身もスタジオプレイヤー兼裏方としてWilcoにかかわり始める(そういう意味では、Tweedyはくるりのボーカル同様、やや独裁的な面があるのかもしれない。ここでのくるりへの言及は、O'Rourkeへの言及との暗合があるから、あながち唐突ではないことはいうまでもない)。そして本作が生まれた。ベースはWilcoのフォークロアシップを受け継ぎながら、サウンドメイキングが格段に未来化する。そのよしあしは、視点によって異なるだろうが、大学を浪人した僕にとっては、なんとも幸福な出会いであった。しかるべき方向にWilcoが進んでいると感じた。僕は進化を信じた。栄光の過去は、栄光の未来のために存在するのだと。本作のジャケとなったシカゴのマリーナ・シティをこの目で見たときの無感動は、本作の内容へと僕が埋没していたからに他ならない。「ああ、あれか」という感慨は、本作の良さと完全に反比例している。全曲がまったき現代的振る舞いのもと、とにかくアメリカの今を背負い始めた。傑作である。