Wilco : Sky Blue Sky
ARTIST / Wilco
TITLE / Sky Blue Sky
LABEL / nonesuch
DATE / 2007
TITLE / Sky Blue Sky
LABEL / nonesuch
DATE / 2007
1230。Lサイドも参照。以前紹介した盤"A Ghost Is Born"。ミックスはJim O'Rourke。ストリングスのアレンジもやってるようだ。抑えきれない前衛性、そんなものはない。見事に自分達の影を押し込め、適切に演奏し、適切に歌い上げる。Wilcoというグラミーバンドは、何にもまして優先されるべき集団である。今後、彼らがリリースする盤はおそらくどれもが傑作だろう。それゆえにはかなく解散してしまう可能性もある。Wilcoと僕の出会いは比較的古い。多分高校生のときに"Summerteeth"が名盤であると語ってたはずである。それが1999年。とりあえず1st以外スタジオ作品は全部持っている。これは僕にしたら意外とすごい事だ。それほど思い入れがあるとでもいおうか。前作"A Ghost Is Born"はO'Rourkeを招致したということもあってかかなりの話題作として騒がれたが、本作は僕のアンテナが圏外表記だったのか、気付かぬうちにすっとリリースされていたように思う。Nels ClineとPat Sansoneという新メンバを加えながらも、やっていることはより原点回帰的になっているようにも感じる。オルタナ・カントリーという名称のもと、90年代中葉から活動するWilcoだが、もはやそのような俗称によって語られることも少なくなっただろう。一般化へと逃れる総称から逃れることで、あらゆるインスタンスはそれ自体をより高次の存在へと押し進めるのである。Wilcoを語るにはWilco自体の文法が必要となった。見事である。全編に溢れる偉大なる巨人たちへのめくざせも忘れない。間違いなく2007年にリリースされた盤のなかで最良のもののひとつだ。