Stevie Wonder : Songs In The Key Of Life
ARTIST / Stevie Wonder
TITLE / Songs In The Key Of Life
LABEL / motown
DATE / 1976
TITLE / Songs In The Key Of Life
LABEL / motown
DATE / 1976
2108。過去盤レビュー。motownの申し子、盲目の天才音楽家Stevie Wonderの18thくらい。多くのリリースを経ながらも、本作は、その才能をさらに凝縮して、全部つっこんだ2枚組に仕上げる脅威の絶倫っぷりを見せ付ける。バラードを書けば誰よりもメロウで、印象的なフレーズをつむぎだす。一方グルーブに基調をおけば誰よりも跳ねまくり調子にのるファンクネスを発揮する。まさに視覚なしである。個人的には、うっとりさせすぎるバラードものよりもやっぱりぐちゃっとした曲作りのほうが好きなのですが、Stevie WonderといえばCMでも使われるバラードというイメージもあり、下手すると最近のパンカーなんかはださいとさえ思ってるかもしれない。んあことはない。ちゃんとグルーブを感じられるから、手抜かりなく本作に手を出しておけといいたい。1枚目のM4のようにフュージョン丸出しの曲もあって、その多才さをうかがわせる。M2のM6にはHerbie Hancockもいるし、M7にはGeorge Bensonもいるわけで、人脈の広さというか、やりたいことの幅を感じさせる。Duke Ellingtonに捧げた'Sir Duke'はあまりにも有名だし。人種を持ち出す必要はないが(本作でも'Black Man'なる曲があるけど)、やはりそのアフリカン・アメリカンとしての誇りというか、アイデンティティが音楽に結実してるんだろうな。そりゃグラミー賞を米のとぎ汁のようにだばだばと流していくわけだから当時のStevie Wonderぐらい頂点を極めたものはアメリカにいなかったであろう。ちなみに本作も最優秀アルバム賞ほか4部門を受賞したという。やっぱり'I Wish'みたいにぐりんぐりんした曲がよいよね。さて、当然全人類が本作を聞いているはずなわけだけど、それでもまだ生まれたばかりならまだ初めての感動の余地が残されている。それでも、子宮のなかでの記憶を手繰り寄せて欲しい。本作のどれほどの曲を、すでにあなたが知っているのかということを。これはシングルを詰め込んだベスト盤などではない。それでも有り余る才能と、モダニズムとともに死に絶えたはずの「普遍性」が本作には亡霊のように宿っているのである。まるで、あなたがそうであったかのように。外れたあごが戻らない傑作。