Elliott Smith : Figure 8
ARTIST / Elliott Smith
TITLE / Figure 8
LABEL / dream works reocrds
DATE / 2000
TITLE / Figure 8
LABEL / dream works reocrds
DATE / 2000
2107。過去盤レビュー。どういうわけか、Elliott Smithの諸作のなかで、唯一itunesに入れ忘れている1枚。どういうわけか。"XO"でメジャー感覚を手にしたEliott Smithは、何も変わることなく絶頂に達した5th。やってることは変わりなく、自分の、Elliott Smithにしかできない歌に、ただただ向き合っている。友人であるQuasiのSam Coomesや、Fiona Appleの元彼であるJon Brionなんかにちょこちょこと手伝ってもらいつつも、やっぱり基本的には孤独に音楽に向かっている。泣ける。"Xo"から見られた傾向として、音色も増え、オーケストレーションまで味付けに使いながら、それでも押さえるところはしっとりと押さえる。それでも押せるところをもっと押さえて、彼のギターと、歌のみで聴きたいと思ってしまうのが、個人的な感想になっている。もっと自分を追い詰めて、追い詰めて、追い詰めて、そのなかから搾り出される旋律に耳をすませば、と思っています。そんな僕たちが、彼を追い詰めた、と勝手に自分との因果関係を結び、世界のなかで結びつこうとする程度のファンが、本作を久しぶりに聴いても、まったく驚きはなくて、自明のように彼は自分の歌を歌っていた。厄介である。知ってしまったからには、それは過去の踏み台にしなければ次の話はできないのだから。いい盤なのかどうかを問われると、そこまでではないかもしれない。もはや物語を背負わない対象として、自明のようにリリースされた本作を、僕は、マックのフライドポテトのように消費してしまったから。それでも、それぞれのトラックは、独立してもElliott Smithの魂が響き、他の盤に遜色のない輝きを持って。才能のある人間が1人いるとして、そいつが、人生で、何か超越的な存在の恩寵のもと、とり付かれたような1曲を書いたとして。しかし、そのレベルの曲ばかり書き続けた音がいたとすればどうだろうか。そういう、稀有な存在だったということを10年以上たっても、僕たちは突きつけられている。困ったことに。Bye。