Steely Dan : Two Against Nature
ARTIST / Steely Dan
TITLE / Two Against Nature
LABEL /
DATE / 2000
TITLE / Two Against Nature
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DATE / 2000
2102。以前紹介した盤"Can't Buy A Thrill "。安心できるグループSteely Dan。構築美を突き詰める職人集団、Steely Dan。何の気なしに本作を聴いて、その飛び跳ねるグルーブを堪能すれば良いと思う。そして抜き差しならぬそれぞれのパートの呼応を感じればよいと思う。まるでオーケストラのように計算に計算が重ねられている。Donald FagenとWalter Beckerのみが暗躍する。極上のプロミュージシャンを機械のように使い、そしてSteely Danなるジャンルを達成するわけだ。この渋さ、というか、ただのうまみのみを感じられるようになって、俺は本当に音楽が嫌いになった。こんなものを良いと感じるのは快楽としての音楽ではない。ちなみに本作は"Gaucho"以来のフル盤で、実に20年ぶりのリリースだった。何の気負いもなくSteely Danは投げかけられていて、当時からのファンは頭を痛めたに違いない。俺たちはまた、快楽として音楽を愛せなくなってしまう、と。本作は、アルバム賞をはじめグラミーを4部門も受賞するという復活祝儀も受け取りつつ、業界人、しかも裏方たち、批評家たちに職人の魂をしっかりと現役化した。ポップスのフィールドで、ここまでこだわりぬいたスタジオ感を出す作家は現在おおよそSteely Danだけで、それゆえ、彼ら意外にその反快楽を与えてくれる人はいない。全部の楽器が、粘りから響きまでが、もうがちがちなんだから、そんなことしようとしたら音楽が楽しくないに違いない。遊びがない。余白の美学なんかではない。でもFagenとBechkerが勝負しているのはポップスの領域なのである。驚愕だと思う。聴けばわかる。M3の表題曲をはじめ、まったく退屈させないポップスを鳴らしているのだから。それでも、まったく楽しくない音楽。それゆえ、極上の媚薬。みんな大人になってから聴こうね。最高!