My Bloody Valentine : Loveless
ARTIST / My Bloody Valentine
TITLE / Loveless
LABEL / creation records
DATE / 1991
TITLE / Loveless
LABEL / creation records
DATE / 1991
2101。以前紹介した盤"Isn't Anything"。いわゆる名盤2nd。しかも歴史上、孤高に刻まれた。こういう類の盤ってのは意外とない。本作の逸話を紹介してもしつくせないし、wikiを読めばだいたいわかる。その程度に有名である。まず赤い。これだけで十分だと思う。メンバーはKevin Shields(ボーカル、ギター)、Bilinda Butcher(ボーカル、ギター)、Colm O'Ciosoig(ドラム)、 Deb Googe(ベース)。ちなみに、当時Kevinは28歳ぐらい。Bilindaは30歳ぐらい。ということはである。Kevinは2013年で、40歳ぐらい。Bilindaは42歳ぐらいである。そんな彼らが新譜をだした。青く、美しいジャケットである。しかも来日した。行けなかった。しかし、もはやBilindaは嬢と呼ばれるような立ち居地なのかはなはだ疑問である。どれほどポピュラー音楽が停滞しているかが分かるのではないか。つまり、われわれは、"mbv"が出るまでずっと新譜を待ち焦がれていたのである。おいおいと。"Loveless"はシューゲーザーなるギター音響空間を明確に立ち上げた。その影響圏は、ロックというよりも、電子系の若者たちに広がりを見せた。靴を見続けるという手法は別にして、ギターのフィードバックノイズによる音響空間というもThe Jesus and Mary Chainですでにある種の達成があった。それではなぜ、マイブラの本作が取り立てて孤高の輝きを見せるのか。印象的に、今聴いても、そして僕が本作をいつ買っていつ聴きまくったか定かではないが、正直その頃も含めてピンとこない。旋律は極めてイギリス的でメロウ、それをギターを主軸に何かしらのサンプリングも乗っけて分厚い音響空間が作られている。ひょろひょろとしたUKロックに、エスキモー風なダウンをまとわせた印象。なぜこれが。なぜこれが。なぜこれが。何度問うても答えは難しい。creationを倒産させるほど金がぶち込まれているから。マイブラが本作を最後に沈黙するからか。わからない。本当に分からない。よくできたポップスである。旋律は良い意味で、すらっとしている。キャッチーだ。意外とその辺が重要な気がする。その中で、何か物量で圧倒されるアトモスフィアが「轟音」というもので演出されている、という。なんだこれは、という驚きがあったのかもしれない。こんなに僕たちの近いところで。何かすごいことが起きたんだ、おきているんだ、という。冷静に俯瞰で本作にアプローチした文章をまだ読んだことがない。この不可解な、謎を誰か解き明かしてくれないだろうか。そして、そこには、ただのポップスに、資本主義的な圧倒が加味された、ということで片付けてもよいようなまなざしがあるかもしれない。しかし、冷たく書いているようで、しかし数十枚分の価値のある1枚だと思う。ヘッドホンでどうぞ。(追記)あかん、これは良い盤だわ。