Sagittarius : Present Tense
ARTIST / Sagittarius
TITLE / Present Tense
LABEL / columbia
DATE / 1967
TITLE / Present Tense
LABEL / columbia
DATE / 1967
2123。過去盤レビュー。いわゆる名盤、ソフトロック。Gary Usherによるプロジェクトであり、The MillenniumのCurt Boettcherも主要メンバーとして参加。スタジオでその可能性を追求し、その美しい音楽世界で僕たちの心をとらまえた。ほとんどの曲をBoettcherが手がけており、彼の作風を愛するならば避けて通れない1枚である。古びて聴こえるサウンドメイキングでありながら、きらめきと優しさを兼ね備えたソングライティングのよさは失われていない。その時代なりの良い曲があり、その時代なりのオーバーな力がある。無理のない余裕のたたずまいに見せて、アイディアに詰まっているという理想的な造りである。30分にも満たないことの驚きもある。芳醇な内容は、ただ長ったらしく音楽を垂れ流すような手法をとらない。攻め垂れるような、突きつけるようなことはしない。どこまでも愚直に、その鋭敏さを隠しながら。そのまま行くと、ラストM11'The Truth is Not Real'で試されることになる。いきなりテンションが代わり、過酷なサイケデリックな世界観を突きつけてくるから。Curt Bettcherは本当に奥が深い曲を書く。いて座による先制攻撃は、M1'Another Time'のイントロから始まる。押さえた導入から、美しいストリングの混入から、ややサイケなコーラスをさしはさみ、もはや全力で名曲である。そのような先鋒と大将がいるチームで負けるはずがないラインナップである。名盤には名盤の理由がある。そして、Curt Boettcherのアイディアは、かれることなく、しかし注目されることなく、開示されることを待望するのである。世界よ、俺たちに愛を。世界よ、音楽に平等なまなざしを。