The Mothers Of Invention : Freak Out!
ARTIST / The Mothers Of Invention
TITLE / Freak Out!
LABEL / verve
DATE / 1966
TITLE / Freak Out!
LABEL / verve
DATE / 1966
2052。Zappa先生を中心とするThe Mothers Of Inventionの記念すべき1st。歴史的名盤に位置づけられるにふさわしい門出。時代は66年。プロデはTom Wilson。イギリスでは"Revolver"がひぎられて、新しい幕開けを告げていた頃、ようやくポピュラー音楽史においてZappa先生が高らかとその完成度でもって登場するわけである。ジャズ・ロックなソロ作、あるいは現代音楽かぶれのアプローチ、あるいはギタリストZappa、それもと奇人であることだけを振りかざす髭、そのどれとも違い、素朴さを残しながらも単純で奇抜なサイケでもない。で、結局何をやってるの、というと初期のZappaをやっている、としかいいようがない。Zappaの音楽を説明することは難しい。というか、一色でないから。ロックをやってるには違いない。ただ本作を、まるで、人生観を変えてくれる衝撃的な傑作であるだろうという気構えで聞くと失敗する。二度とZappaが他にやりすぎといって良いほどやってしまった諸作を無視することになると思う。単純に言えば"Hot Rats"とかのがすっきりしてるしね。本作は、まるで円熟の境地に達したとさえ形容されてもおかしくない頭のおかしい新人による脅威の2枚組みコンセプト盤という稚気をまず噛み締め、そして、その意外なほどのキャッチーさを堪能し、何がひそんでいるのかをセックスに興じるかのように茂みを探索するに限るのである。何かがある。もちろん、何もないかもしれない。しかし耳にしつこく残る。R&Bとドゥーワップによる真っ黒な魂が随所にこだまし、呪術にこの盤に謎のグルーブを与えている。聴けば聴くほど分からなくなる。まるで奇跡と夜みたいに。