Jim O'Rourke : Happy Days
ARTIST / Jim O'Rourke
TITLE / Happy Days
LABEL / revenant /
DATE / 1997
TITLE / Happy Days
LABEL / revenant /
DATE / 1997
2082。日本でソロO'Rourke先生が活気付いたのは、まさに97年からではないでしょうか。"Bad Timing"なんかのほんわかキャッチーさが、実は裏側に広大なインプロ畑でせっせと果実を収穫している寡黙な人物であるなんてほとんどの人が気にも留めなかった。由緒正しき家柄、というわけではないけど、まさにアメリカーナとかなんとかいう「」つきの正当性を携えていた。その入り口のお洒落さと、間取りの広さったら多くの若者たちを優しくその中へと勧誘していた。その頃に出されたこのタイトルもジャケもさわりのよい本作。全1曲47分。偉大なる爪弾きギタリストJohn Faheyが当時のO'Rourkeの大きなよりどころで、本作もFaheyのレーベルrevenantからのリリースとなった。その憧れを本作でもしっかりと実践し、師弟とまではいわないまでも、しっかりとFaheyのギタープレイを意識している。僕たちの知っているアメリカーナO'Rourkeというのは、Faheyとの上位ないし下位互換である。それに気付いたLサイドは嬉々としてFaheyの盤をWAVEで予約するという。あれ、違ったっけ。本作は、そこ穏やかさのバックで、電子が鳴らされている。アコースティックな牧歌性に、ハエが舞うような。その絶妙というか、不快なくねつきは、序盤を過ぎると、ハエがずっと飛ぶ肥溜めへと移行していく。そして中盤からは、もうただの電子のような波で。そして後半また入り口のほうに戻ってくると。実際はハーディカーディという弦楽器の一種が使われているのであるが。たいしてよい盤とも思わないけど、前段で述べたような理由から、結構いろんな人が手を出しやすいという。もちろんTony Conradが好きだ、とかそういうことなら、話はまったく変わってくる。さらにO'Roukreの90年代後半の契機を探るには、本作はまさに中間的な知恵を持っている。そこに興味があるならば、手を出すのも悪くないかもしれない。