Frank Zappa : You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 1

ARTIST / Frank Zappa
TITLE / You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 1
LABEL /rykodisc
DATE / 1988

2132。過去盤レビュー。コアなZappa先生を楽しむことができる最後の砦が"You Can't do That On Stage Anymore"シリーズです。全部で6枚リリースされ、全てが2枚組み。全部で182トラックが、その独自の色身を持ってZappa先生の渾身の持ち味を提示している。ギタリストZappaと、奇行が過ぎるZappaと。Zappa先生は記録をとり続けた。自分のライブ音源は、天才である自分の失われてしまう身振りなのであった。このシリーズには1968年から1988年までのライブ音源がえりすぐりで投入されている。日記を書くのとはわけが違う。まさに写真のように、抽象表現主義のように、身振りがインデックス化され、巨大に迫ってくる。だれがそんな長い展望でもって音楽活動をするだろうか。どこまでもコマーシャルで理性的でありながら、そのようなパラノイア的な境地に達するというのは一種の理想である。これはずれているというのではなくて、集中力なのだと僕は考えている。異常者、変わり者、何でも理解できないならばそのような形容で、対象との距離を断絶し、自分たちの不安感を解消するようなことはしてはいけない。Zappa先生は、類に稀な集中力でもって、理性的にギターを弾き、音楽を作ってきたのである。それにしても、ライブ音源だからこそ、FZが稀代のギタリストであったことを突きつけられますね。まったくダサくないフレージング。そして、時代の隔たりがあるにも関わらず、何の違和感も感じさせない盤全体の構成力。脱帽するよりほかはない。