Fiona Apple : When The Pawn Hits ...
ARTIST / Fiona Apple
TITLE / When The Pawn Hits ...
LABEL / epic
DATE / 1999
TITLE / When The Pawn Hits ...
LABEL / epic
DATE / 1999
2133。過去盤レビュー。以前紹介した盤"Tidal"。正式タイトルは、"When The Pawn Hits The Conflicts He Thinks Like A King What He Knows Throws The Blows When He Goes To The Fight And He'll Win The Whole Thing 'Fore He Enters The Ring There's No Body To Batter When Your Mind Is Your Might So When You Go Solo, You Hold You"。この糞長ったらしいタイトルと、販促で掲げられた「私は音楽。」という挑発的な言葉にやられた僕は一目ぼれして本作を人生に注入した。それ以来Fiona Appleはかけがえのない、敬愛すべき個人の1人である。女性シンガーってのはあまり知らないので、そういう意味ではFiona Appleは特別だ。多幸感に満ちたジャケットの中に隠された、強烈な悪意とも取れる音楽的メッセージは、かわいげがとことん排斥された声によって強くされ、才人であり元彼でもあるJon Brionのマジックによって、増幅されている。ちなみJon Brionはもっと日本で名前が売れてもよいのでないだろうか。シングルカットさらた'Fast As You Can'以外でも彼女は全力で、バックバンドもそれに答えている。場末のスナックで歌っていたときのように、ガリガリだった彼女に手を差し伸べえるように、まるで、安っぽいドラマのように、優秀な人間の物語は始まり、今も、多分、まだ、続いている。それを楽しみにしているごくごく普通な観衆は、現実感を喪失て音楽に、音楽だけに耳を傾ける。面白い。10年以上たったけれど、僕の音楽は本当に2000年前後で止っていることを思い知らされる今日この頃である。これで満足しているというわけではないけど、さほどキャパシティがないわけで、しがむように音楽をどろどろに身体に塗りたくるには、まだまだ所与のものを解決するのに時間がかかるのである。