The Flaming Lips : The Soft Bulletin
ARTIST / The Flaming Lips
TITLE / The Soft Bulletin
LABEL / waner bros.
DATE / 1999
TITLE / The Soft Bulletin
LABEL / waner bros.
DATE / 1999
2002。過去盤レビュー。実は80年代からしこしこと活動を続け、今でもてこてこと新譜を積み重ねているThe Flaming Lipsのキャリアの中で最も輝きを持ったのが、ミレニアムを前にした本作である。Michael Ivins、 Steven Drozd、Wayne Coyneという、それぞれこのバンドでしかアイデンティティを保てないような人たちが集まり、 Dave Fridmannという時代の魔法が施された。当時のM1のイントロのコレキタ感は見事であった。きらきらしていた。今並べてみると、Mercury Revと確かに似てなくもないな。M2なんて声の高さが違うだけといってもいいかもしれない。途中で若干大仰になるのは少し違うかもしれないが。魔法、という時代である。先ほどもDave Fridmannの仕事にそれを当てはめたが。魔法をまだ信じることができた時代なのである。ドリーミーとマジカルが、ごちゃ混ぜになって、それでも何か現実的ではない、何かがふわふわとしていて、それは音楽なるものと擬似的な相関関係によって、幼い僕たちの頭をぐちゃぐちゃにした。エヴァンゲリオンが終わって、高校生になって、それでも精神はとめられたままで。現実には直面せず、逃げ出すことが肯定されていた。立ち向かうこと以外なら何をしてもよかった。9枚目にして到達したこの名声に彼らは何を感じただろうか。あの率直なPitchforkでさえ、本作を90年代で3番目に重要な盤として位置づけ、10点満点をつけている。それぐらいの盤なのである。それ以前に何をやっていようが、今何をやっていようが関係ない。この頃は、まだ魔法がかかっていたから。だから、魔法が解けて久しいこの時代に聞くと、なんじゃこれ、と思うのである。