Carole King : Tapestry
ARTIST / Carole King
TITLE / Tapestry
LABEL / ode
DATE / 1971
TITLE / Tapestry
LABEL / ode
DATE / 1971
[25-71]。過去盤レビュー。ただの名盤。名曲を並べ続けるオーダーをすれば、本作が出てくる。この盤がよすぎるから、Carole Kingのほかの盤を聴こうとすら思わないという呪われた1枚である。2ndくらいか。60年代にはSWとしてGerry Goffinとともに多くのヒット曲を市場に垂れ流し、そしてSSWとして本作に到達したわけだ。歌心というものを知っている女性はポップス史においても比肩するものは少ない、というかFiona Appleぐらいか。僕個人の好みでいうと。Fionaを並ばせるのもちょっと酷かもしれないぐらいの歴史を背負いっているけど。『つづれおり』という邦題が与えられた本作は、フォーク全盛の70年代を駆け巡ったが、本作をそのようなせまっくるしいカテゴリーに押し込めるのはもはや無理で、より広義にポップスへとはみ出している。ちなみに、Lサイドの人が、James Taylorに提供されたものをセルフカバーした'You've Got A Friend'を大学かなにかのトイレでひっそりと聴いていたのはあまりにも有名。売れに売れた1枚であり、そのような成功に裏打ちされた良さを民主主義的に確保している。The Beatlesのように。せまっくるしいマーケットにおける偏向的な良さなんてものは、モダニストでもない限り、純然たる良さなどは否定されるのである。ただの個人の歴史や環境に依存した偏愛なのである(もちろん、モダニストである僕はそれをユートピア的に否定するけど)。民主主義的な良さを、それが圧倒的であるならば、信じようじゃないか。少なくとも、本作ぐらいは。あるいは、信じなくても、予見なく、Caroleのちょっと鼻にかかった声を聴けばよい。その旋律の「書けなさ」を感じればよい。そして愚直である。Call My Name...You've Got A Friend。