Steely Dan : Aja
ARTIST / Steely Dan
TITLE / Aja
LABEL / abc
DATE / 1977
TITLE / Aja
LABEL / abc
DATE / 1977
[26-71]。過去盤レビュー。以前紹介した盤"Everything Must Go "。永遠に語り継がれる、計算。奇跡ではない。構築された計算。余技であるとか、手抜かりの結果であるとか、勢いであるとか、そんな糞みたいな自然崇拝はどーんと横において、人間であるからこそできることがあるんじゃないかな。しかも70年代だぜ。どうかしてる。ジャガリコのアボカド味が、美味しいけどアボカドの味がしない、ってぐらいどうかしてる。まずお洒落。シティ感が恥ずかしい。それこそ、Steely Danが若者たちから敬遠される理由なのだ。洗練され「過ぎている」。グッド・ミュージックが大人なのだ。パンクとかテクノとかそんなどうしようもない地下の音楽ではない。地上の、しかも都市の、しかも、大人の音楽である。そのムーディは、幼い子どもたちのほほを高潮させてしまう。女は美しい。その一文が定式化されるような。音が、見事に配置されている。プログレよりもプログレで、ポップスはここまでねじれるても軽やかに、自明に鳴るんだという証明がなされている。困難はない。まったく引っかからない。ブランクーシのような滑らかな表面だ。トップ演奏家を惜しげもなくさらっと使いこなすSteely Dan、今回はタイトル曲にWayne Shorter(参考1)なんかが参加している。ちょっと音響処理がちょっくらダサいけど、うねるアルト・サックスである。本作が日本でもこよなく愛される理由は、抽象化された日本で始めてのトップモデル山口小夜子がジャケットを飾っている点にも現れている。日本にシフトした、といっては言いすぎでも、日本的注釈がつけやすい。「彩」である。全曲が、寸分の隙間なく積み上げられたジェンガ。どうする、最上級のポップスを聴かずに君たちは死ねないのではないか。小難しく考えに考えて聴け。