The Beach Boys : Smiley Smile
ARTIST / The Beach Boys
TITLE / Smiley Smile
LABEL / brother records
DATE / 1967
TITLE / Smiley Smile
LABEL / brother records
DATE / 1967
1876。過去盤レビュー。僕が好む音楽の方向性をかなり規定してしまった未完の傑作。「世界で1番よいアルバムを作る」というとち狂った思想のもと、Brian Wilsonが取り組んだヘロヘロに壊れていく世界。世界一のアルバム"Smile"とはいったいどういうものになるはずだったのか。ファンはそれを想像して、ナラティブ的に世界で一番よいアルバムを棚上げすることで、くだらない音楽を聴き続けてきたわけである。これも1番ではないし、あれも1番ではないし、といった具合に。それが、2004年にBrian Wilsonが"Smile"を冠した盤をリリースすることで崩れ去り、昨年には"Smile Sessions"としてお蔵だし音源がばら撒かれた。どちらも僕は、リリースされることをチェックしながらも、怖くて手を出せなかった。もう少し年老いてから聴こうと思っている。そもそも"Pet Sounds"の到達からさらに、高みを目指すあたりが狂ってる。イギリスのBといいアメリカのBといい負けず嫌いだから。"Revolver"へ回答が求められたThe Beach Boys。作詞などを負かされたVan Dyke Parksがここで施している魔法も、薬の力を打ち消すことはできなかったけれど、全てがこの盤にこめられた論理に基づいている。これが完成していたら、、もしかしたら、、あるいは、、という想像を許す程度に未完だから僕たちは不在のナラティブをよしとして、音楽を聴き始めたのだ。正確には、僕は、と限定したほうがよいかもしれない。本作をどうしようもない駄作として葬り去ろうとする人たちもいるようだ。サイケデリックな世界観へとするかえて評価する人たちもいるかもしれない。ただ、中学校の僕は、本作でもって、脳を開け放つことの可能性を知った。Brian Wilsonの本位ではない形で、メンバーによる改悪が施されてるとか言われてるけど、それでもいいのである。そうでなければ、聴ける体裁さえ崩れていただろうから。是非いたいけな子どもたちに。くだらない音楽に染まる前の無垢な耳で。