μ-Ziq : Duntisbourne Abbots Soulmate Devastation Technique
ARTIST / μ-Ziq
TITLE / Duntisbourne Abbots Soulmate Devastation Technique
LABEL / planet-mu
DATE / 2007
TITLE / Duntisbourne Abbots Soulmate Devastation Technique
LABEL / planet-mu
DATE / 2007
2372。以前紹介した盤"Bilious Paths"。一時は惚れた手前、なんとなく見つけたらしょうがなく手を出してしまうMaike Paradinasさんのμ-Ziq。この名義では7thぐらいに当たるのが本作です。今の風潮の中に置かれるとアンフェアだけれど、これといってわくわくできるようなものではない。彼のキャリアのなかでターニングポイントになるような1枚でもないと思う。なんだか不気味なジャケで、インダストリアルな音楽が醸し出す雰囲気をよく伝えているけれども、Mikeさんの作る音楽の底力には当時そのような意識があったのかもしれません。音楽産業が一個人、一レーベルではなかなか成立しがたいものになっているなかで、planet-muは僕が追いかけていた時よりも確実にリリースを量産しているし(たぶん)、シーンにかみつく能力があるというのも何度も言ってきた。MikeさんとRichardによるラウンジ系ゆるゆる悪乗り盤の"Mike & Rich"もリイシューされたかされるかそんな状況にある。本作ではそんな茶目っ気もなければ、メロウできらめく旋律を上乗せするポップス演出も取られていない。それはたぶん前作からそうだったように思う。ドラムンという手法ではすでに限界があり、ビートの進化が要求されたのは明白だ。だから、90年代のころの彼とはもう考えている音楽が変化したのだと思う。あるいは、そのダークさは初期の気分へと回帰したか。ハンマーで脳みそがえぐりとれるぐらい殴られて倒れた男が何を意味しているのかは不明だけれど、決して能天気で明るい気分ではないと思う。それでも、要所要所にブシ感を漂わせているので、彼の旋律が好きな人には少なからずグッとくる部分もあるかもしれない。最近では、自身が子どものころに作ったトラックをネットでばらまいたりと、耄碌したおじいちゃんのようにキャリアの清算に入っているように感じるけれども、今では老舗のような風格を見せているレーベルの首領として、今一度、革新的な音楽を提示する時が来ることを願っている。決して悪い1枚ではないけれども、別に聞くべき1枚でもない。