Aphex Twin : Windowlicker
ARTIST / Aphex Twin
TITLE / Windowlicker
LABEL / warp
DATE / 1999
TITLE / Windowlicker
LABEL / warp
DATE / 1999
2371。久しぶりに聴いたけど、この曲が持つアウラってのは、なんだかとてつもない凶悪さを今でも持っている。イントロの予感から、ボーカルをサンプリングしたサビへと至る道中、そこから変則ビートへの展開、ブレイクからのクールダウン。ダウンテンポな曲調でありながら、躍らせるつもりがどこまであるかわからないけれど、フロア受けはおそらく最強だろう。邪悪さをたたえながら、観客たちの歓声が聴こえてくるようだ。僕自身、Aphex Twinの曲のなかでも、本作はその悪意しか感じないコラージュPVやこのジャケットも含めて、それほど好きなわけではないけれど、ヒロイックさと衝撃でいえば、彼のキャリアのなかでも随一なのではなかろうか。全3曲入りのシングルながら、このジャケを見て、Aphex Twinを認識する同時代人ってのはたくさんいることだろう。あのマーク以上にポップスの悪魔を見事に操作して、この天才は貨幣をえて家族を安なうことに成功したといえる。M2の'!"£$%^&*(())'はそれまでの一見混とんとしていながらも見事にコントロールされた複雑なリズムパターンを操るドリルンな佳作となっているし、M3の'Nannou'は当時勃興して一気に広がりをみせようとしていたトロニカ的風合いを最高の質感で提示している名曲。この見事に凝集した3曲を放り投げたあと、Richardは有り余る才能をすべてぶち込んだ"Druqs"を2年後の2001年にリリースすることになる。そんな21世紀の始まりを告げるまえに、彼の見つめるビジョンがあまりにもくっきりと提示されているという点でも本作は見事だったといえる。とりあえず知らない人がいるとするならば、まずは'Windowlicher'のMVを見るを推奨しておく。クリス・カニンガムの手がけたそのビデオが持つ悪意と完成度は、当時の子どもたちを夢中にし、そしてその時代、音楽は美しく鳴っていたのである。