Art Pepper : The Rhythm Section
ARTIST / Art Pepper
TITLE / The Rhythm Section
LABEL / universal
DATE / 1957
TITLE / The Rhythm Section
LABEL / universal
DATE / 1957
2266。ジャズ名盤探訪。自分の家の安いステレオでさえ、極上の高級モデルになったんではと錯覚させてくれる、そんな魔法のような録音で届けられる稀有な1枚。あまりにもダサいジャケットであるが故に、なかなか渋い趣味をベースにしなければ、知識なくして本作に手を伸ばす子どもたちはいないだろうけれど、ジャズ史の中でもかなりの名盤として認定されているので、どうぞ楽しんでください。個人的には、スポンジ化した脳みそに、Art Pepperまでも入れておける許容はないのだけれど、彼が黒々と光り輝くMiles Davisバンドを従えているということだけでは説明できない清々しいプレイがある。メンバーは、アルト・サックスにArt Pepper、ピアノにRed Garland、ベースにPaul Chambers、ドラムはPhilly Joe Johnes。1956年の"Cookin"なんかは時期的に、この3人のリズムセクションで挑んでいる。時代はまだまだ、大衆音楽としてのジャズ。ややこしいことは抜きにして、とりあえず、まったりゆったりと楽しんでいっておくれよという気軽なノリである。アジテートもなく、とにかくみんなが心穏やかに演奏に身を任せる。色々と聴いた上では、もうちょっとやんちゃにしないと退屈だって向きもあるだろうけれども、それはそれとして、音楽のタイプや気質や、やり口や性向や、その他もろもろがあるわけだから、他者を許容することで見えてくるものだってあるんだって。お互いさまに。オセロのような環境において、Art Pepperがどのような挑戦をし、あるいはどのように溶け込んでいったのか、その他の盤を知らないからなんとも言えないけれども、とても彼を支える押さえたプレイを見せるバックバンドたちのなかで、Pepperは伸びやかにアドリブを披露しているように感じる。ジャケのダサさから、結構敬遠していたけれども、一家に1枚盤であるということになんら意義をはさむ余地はないでしょう。ご機嫌で、なおかつ夜が似合う。21世紀において買わなくてもいいけど、買ってもなんら損はない時代の優秀な響きである。どうぞ。