Flying Lotus : You're Dead!
ARTIST / Flying Lotus
TITLE / You're Dead!
LABEL / warp
DATE / 2014
TITLE / You're Dead!
LABEL / warp
DATE / 2014
2260。意外にもお初のフライロー。5th。ずっと話題に上がりながらも、どういうわけかスルーしてきてしまって申し訳ないフライロー。そして、ふさわしく手に取った本作が、彼のキャリアの中でどの程度重要な位置を占めるのかはかりかねるが、僕にとってはどこまでもコレがフライロー然とした価値を持つわけだ。特に企図したわけではなく、ハズレますようにと祈って予約した限定のアナログボックスが手に入ってしまったので、部屋でとても邪魔な位置を占めているってあたりが悲しくなるが、フィジカルとデジタルが恐ろしいほどの勢いで入れ替わるこのご時勢の中で復権するヴァイナルを感じるってのも悪くない。そのジャケを手がけるのが、卑猥さを通り越した狂気と猟奇をぶち込むことでインポテンツを喚起する駕籠先生で、そのスピリチュアルな画像を世界的に標榜してしまうあたり、なんだか買っておこうかなと人生のジャガイモ部分をかけるような気分になった。内容は素晴らしい。サブカル同年代の星として、これからも素晴らしいとがりきった音楽を作っていくことだろう。本作でも、ラップトップ・ミュージックを機軸としながらも、ラップ(自身も Captain Murphy名義で披露している)やジャズといったルーツミュージックをしっかりと租借している。なんといっても、Coltraneを叔父さんにもつわけで、ポップスとエクスペリメンタルをいとも簡単に成立させてしまうところが才能ありの証なのだろう。そんな優秀すぎる若造のもとに集まる人たちのなかには、Herbie Hancock、Snoop Dogg、Jeff Lynne、Kimbraといった才人がそろう。フライローが挑戦するどろどろとしながらも、エッジが際立った、死。音楽と死。そんなまじめすぎる大きな物語をもとに、丁寧に、穏やかになされる現代のサウンド・メイキングに惚れ惚れせざるを得ない。言及するのはまったく筋違いながらwarpつながりとして同時期にリリースされたAphex Twinの"Syro"とは違い、ただの天才をさらっと流してしまうのではなく、若気の至りを有り余る才能によってぶっちぎってどろどろに煮詰めた傑作といえる。それぞれの曲は短めで全19曲の40分程度の1枚だが、終わらない音楽がある。