大森靖子と来来来チーム : ポイドル
ARTIST /大森靖子と来来来チーム
TITLE / ポイドル
LABEL / hariental
DATE / 2013
TITLE / ポイドル
LABEL / hariental
DATE / 2013
2215。以前紹介した参考盤"Pink"。10年代に僕が唯一全音源を集めようとか思ったりしている大森靖子はホンモノかどうか。アウトな人としてテレビに出たときは本当にただただアウトな人で、音楽を引き算することで彼女に残されているものは、自己プロデュースから解き放たれた等身大の女子崩れだったのではないかと思ったりもするけど、ファックでクソみたいな現実において、それを適度な強度で歌詞化する彼女の新譜を待っている自分もいる。結局何かひとつを与えられているとすれば、彼女には音楽、歌なのだろうと思う。その辺エイベックスさん頼むぜって思うわけです。痛さはどこまでも緻密に計算されていなければ、本当に痛いだけで、どうしたってそれは芸術なんかでも魔法なんかでもなくて、ただのこじらせた等身大なのである。大森さんの音楽に載せられた言葉には、その自覚がある、と僕は思う。音楽について歌う彼女の力は本当に、僕は美しいと思っている。その盲信は、音楽を愛するということに純粋に捧げられた精神から生まれる視野の消失なのだ。本作は大森さんが、戯れでよくわからないバックバンドを携えて作ったセルフカバーともいうような1枚。というのは、一方的な見方なので、正確にはコラボ盤。がちゃがちゃとポストロインスト崩れなうま下手演奏に載せられて、どこまでもやっぱり大森靖子の歌が聞こえてくる。「ミッドナイト清純異性交遊」や「魔法が使えないなら死にたい」といった短いキャリアのなかで提出された10年代のキャッチーさを体現している曲ががちゃがちゃとやってのけられている。「ミッドナイト~」はこの盤のために作られた曲だという。ほう。来来来チームというのは、多分、僕たちと同じような方向性で音楽を聴いていたのだろうなと想像される。それを踏まえて、これがとりあえず2000年以後に鳴らされているということ。そのどうしようもない感慨はほったらかして、僕は大森さんの声にのみ指向性を捧げ、耳を傾けている。たいした1枚ではないけれど、今後の大森さんが、きちんと売れたらきちんと聴かれることになるだろうし、そんな日が来ることを心から願っている。本当に今年が正念場であることを間違えないでもらいたいエイベックス。何よりも大森さん。