松尾清憲 : パッション・グローリー
ARTIST / 松尾清憲
TITLE / パッション・グローリー
LABEL / ユニバーサル
DATE / 2000
TITLE / パッション・グローリー
LABEL / ユニバーサル
DATE / 2000
2210。この異色の1枚に連ねる言葉といえば、当時僕は、まじめに音楽雑誌を読んでいて、その中でも「ストレンジ・デイズ」を愛読していて、それはブリティッシュなんやらとか、プログレの特集とかをメインに組んでいるオールドな読者層を想定していて、そのなかで松尾さんは劇的にプッシュされていたから、とかそんな理由だった。廃刊されていなければ、今でもそうなんじゃないかな。いつだって、無学な人間を駆り立てるのは、センセーショナルなメディアである。ラーメンズの片方に似た風貌を持つ松尾さんは、決してこの時期にぽっと出てきたわけではなかった。wikiによれば、80年に鈴木慶一のプロデで、シネマというバンドでデビューしたという。80年代を適度にもてあそび、いいとも青年隊や鈴木雅之やらに楽曲提供をし、そして何を思ったか21世紀を直前に控えて、ソロで復帰したのである。本作はその2作目である。その時代の機運たるや、もちろんそういう盛り上がりなどに僕たちも適度にもまれて音楽を聴いてきたのであった。メディアの煽り文句を盲信し、なけなしの小遣いを使って新譜を買ったのだから、なんか甘ったるい声で、何だかたるんだ歌詞だなぁと深層心理で思いながらも、何度かは聴かないでは損した気分になる。だから適度に聴いた。今聴いても、決して僕の音楽遍歴のなかでも異色な肌触りとなっているが、英国趣味な、XTCなのかなんなのか、その辺はすごく感じて、懐かしくて、なんだか面白い。泣けるほどは聴いていないから、感傷的にはならないけど。でも結構覚えているっていのは、やっぱり松尾さんの楽曲のセンスだと思うのだ。M4なんかボーカルを帰れば、90年代のドラマの主題歌にだってなれると思う。どこまでもダサいけど、それでも当時はご存知な皆さんにとっては、帰ってきたことは大きかったんだろう。いまさら聴かなくても良いと思うけど、それでも何だか、胸がほわほわするんだな。全6曲22分。