Matthew Herbert : Plat Du Jour
ARTIST / Matthew Herbert
TITLE / Plat Du Jour
LABEL / accidental
DATE / 2005
TITLE / Plat Du Jour
LABEL / accidental
DATE / 2005
2207。Lサイドによるレビューはこちら。以前紹介した盤"Goodbye Swingtime"。いろんな名義、プロジェクトで、しかもかなりの多作であるために、いつどの盤がでたとかの把握がめんどうになっているMatthew Herbertさん。ファンにとっては喜ばしいことなんですけれども。そして、いつも何かしらを提示しようとするチャレンジがあるからそれもまたいとをかしといった風情です。本作でもHerbertさんが標榜する<Personal Contract for the Composition of Music>いわゆる<PCCOM>にしたがって作曲されています(本作では、pccom turbo extremeにしたがっているというが、turbo extremeってなあに)。すなわち、既存のサンプルを使用することや、ドラムマシーンを利用することを禁止するというあれです。マゾヒスティックな信条かもしれませんが、それによってHerbertさんは軽やかな表面を獲得します。本作のテーマは<食>。Paul McCartneyがThe Beach Boysのために野菜をかじったレベルではなく、何がどうなっているのかよくわからない音の数々が、有機も無機もノーボーダー化し、軽やかな表面、うきうきとした旋律へと昇華させています。かじっているだろうし、流してもいるだろうし、その他もろもろの音の構築物が、牧歌的な<食>を提示しています。もちろんポリティカルな姿勢も忘れないのがHerbertの流儀ですから、当時のイギリス国内における食を廻る諸問題に切り込んでいる、のだろうと思う。肥満、給食、ダイエット、その他大勢。あまりに美しく構築するもんだから、それは仮構された<文化的な>皮肉として機能しているのだと思う。現代的にスウィングしつづけるビートにやられてしまったら、ライブ見てみたいくらいには好きになると思います。現代音楽のなかで、ポップスで偽装しつつ才能をだだもらししているHerbertさんに敬礼。