American Football : S/T
ARTIST / American Football
TITLE / S/t
LABEL / polyvinyl
DATE / 1999
TITLE / S/t
LABEL / polyvinyl
DATE / 1999
2181。別に忙しかったわけでもないけど、停滞していた更新をちょっとやってみる。財布もなくしたことだし。当初からpolybinyl系へと触手を伸ばしていたLサイドがいまさらながら聴きなおしておススメしていて、僕自身も前々から知ってはいたけど、買うまでには至っていなかったいわゆる清涼感ポストロ系の名盤。歌を放り込むことによって、ちょっと経路は違っているけれども、鳴っているトラックの清々しさは、周辺のバンドでもなかなか到達できなかった雰囲気でもって成立していると思われる。当時はエモい文脈で語られていたのではなかろうかと推察する。歌をのせることによってアクセスもしやすい。メンバーは、Joan Of ArcのKinsella兄弟の弟のほうで Owen名義でも知られるMike Kinsell(ギター、ベース、ボーカル)に、Steve Holmes(ギター、オルガン)、Steve Lamos(ドラム)という面々。 フル盤としては本作1枚だけ残してあっさりと退場したいさぎよさ、その頭に残るバンド名、そして確かに琴線をゆるがしがちな旋律をたたえるしぐさ。どれをとってもきちんとある種のマーケットにのっかることができる条件をそろえているように思う。同じレーベルメイトでもあるPeleとも共鳴しながら、この時期のインディー棚をある程度騒がせたことが想像されます。ポップですよね。解決の仕方もドラマチックですし。演奏技術が高いかといえば、そこに注力しているわけではなさそうだけど、若さのみが鳴らすことができるセンチメンタルと穏やかさの応酬でもって心を引っ張っていきます。インストでも十分聞かせることができる。文脈上はかなり名高いAmerican Footballなだけに30を迎えた今になって手を伸ばすような1枚でもなかったなぁと、その遅ればせながらに後悔しているのであった。