Squarepusher : Feed Me Weird Things
ARTIST /Squarepusher
TITLE / Feed Me Weird Things
LABEL / rephlex
DATE / 1996
TITLE / Feed Me Weird Things
LABEL / rephlex
DATE / 1996
2157。SquarepusherことThomas Jenkinsonの歴史が始まった1st。M1の'Squarepusher Theme'を初めて聴いたリスナー、あるいはRichardはどんな顔をしただろう。こんなにすかすかなのに。こんなにドラマチックで、こんなにも優雅で、こんなにも洗練された新しいやり方があったのかと。ジャズ・ベーシストとしても活動するJenkinsonの本領を発揮しつつ、隠されていたビートの構築をやってのけ、フュージョン的でもあり、ドラムン的でもあるというこの感じ。やられたーーーと誰もが股間を隠しながら感じていたに違いない。興奮と興奮と、それに似た興奮。ビートは跳ね回りながら、それでも一定の束としてうねりを演出し、極上の旋律性でもってポップネスを確保する。都会の高速道路を走る音楽である。それはシュチュエーションを準備する程度に優雅で、疾走する。気分は、不思議に高揚する。ちなみに当時のJenkinsonは19歳だったそう。この天才もやはり、20代を待てなかったのである。何度もいう。音の粒としては、超絶に簡素。スカスカ。それでも過不足がないから本作はすごいのだと思う。最先端の装飾がなくても、構想力だけで本作のような革新的な1枚ができるということの証左である。今のSquarepusherは、一応大規模なクラブ系のフェスを沸かせる程度に、ゴージャスな作家になり、センスはセンスとしてそのままに、こてこての音楽をたんたんと発表しているけれど、初心ってのがここまで優雅であるからこそ説得力があるんだ。残念ながら僕が本作をいつ初めて聴いたのかよく覚えてない。それが残念で残念でならない。ご他聞にもれず、Aphex Twin経由であったのだろうけど。つーことは高校3年か浪人時代だろうか。それんしても、優秀な人間の近くに優秀な人間が集まるというのはどうしても自然の摂理で、Richardの周りが革新じみているのはなんら不思議でもなんでもない話なのである。周りにバカしかいないというあなたは、自分自身を見つめなおさなければならない。