Art Blakey And The Jazz Messengers : Moanin'
ARTIST / Art Blakey And The Jazz Messengers
TITLE / Moanin'
LABEL / blue note
DATE / 1958
TITLE / Moanin'
LABEL / blue note
DATE / 1958
2094。以前紹介した盤"Free For All"。ジャズ名盤探訪が続く。Jymie Merritt(ベース)、Bobby Timmons(ピアノ)、Benny Golson(テナー)、Lee Morgan(トランペット)、そしてArt Blakeyによる代表作、なのだろうか。LeeとBobbyによる会話ノイズから幕を開ける本作は、いきなりばっしゃーんなタイトル曲'Moanin''から一気に展開する。この曲はおそらくCMや番組などで何度もこすられているであろうし、去年は『坂道のアポロン』がアニメ化され、その第一話のタイトルにも適用され、さらに劇中でもこすられまくったのが記憶に新しい。まったく関係なくもない予断としては、『坂道のアポロン』の監督は渡辺信一郎。主監督した作品が極めて少ない(アポロン入れて3作)が、大体が音楽を取り入れた演出をするという名監督である。というか『カウボーイ・ビバップ』を作っただけでも偉大であるが。そしてアポロンの音楽は、ビバップ同様管野よう子。現状数少ない尊敬すべき日本のポピュラー音楽作曲家である。アニメとしてはSFではないにしろ、清廉で気持ちの良いものであった。さてそれはさておき、本作は名盤として誉れ高すぎるだけあって、責めてくる演奏に、お、なんか知ってるぞという曲のオンパレード。楽しい。'Moanin''は最初の印象的なフレージングを仮にAメロとすると、そこからBメロへと展開する間に挟まれる2拍がたまらない。映像を気持ちよく切り替えられそうな間である。作曲はピアノ担当Bobby Timmons。当時20歳だったというLee Morganのフレージングは多分多くの音楽家たちに激烈すぎる影響を与えたのではないか。ジャズというよりポップスの範囲で。若手たちがあまりにもやる気に満ちているので、Art Blakeyがたまにドラムロールとか鳴らすとウルせーと思う方もいる、いないと思いますが、それでも、控えめながら音色の足しにでもどうぞという謙虚な裏方作業もばっちりやっているわけですから、やっぱりジャケ写でアップにされる価値はあるんだと思います。複雑化された音楽ばかり聴いていると、本作は素朴に聴こえるかもしれませんが、それでも、僕はここで構築されている素朴さは過不足のないものとして結実していると思う。ちょっと大仰なときもあるけど。名盤。