Nomeansno : Wrong
ARTIST / Nomeansno
TITLE / Wrong
LABEL / cargo
DATE / 1989
TITLE / Wrong
LABEL / cargo
DATE / 1989
2077。以前紹介した盤" 0 + 2 = 1"。カナダのハードコアバンド、Nomeansnoによる隠れ名盤。隠れてたら名盤じゃねーよという声は彫っておいて。まあ、M1を聴いてください。かっこいいから。予感があるイントロ、そして、そこから始まる一連のネギ刻みまくり。良いのではないでしょうかこれは。ちょっとボーカルの入れ方が好みではないけど、ま、演奏がぶっちぎってるところで全然埋めれるね。時代を考えると、ちょっと早いね。まだ90年代になってない。ミクスチャーとかを引き合いに出すのではなくて、これは、ハードコアがそぎ落とされてポストロ化したのではなくて、ハードコアがハードコア然として、筋肉質のままポスト化した感じ。超ハガネ。メタル、とも言う。でもメタルのようなギターソロ押しやら、シャウトではなく、どこまでも先鋭化されているのはドラムとベース。リズムが支配する音楽である。ドラムとベースといった縁の下の力持ちが、音響化し、ギターの旋律が瓦解し、デジタル処理されて骨抜きになるのが、ポストロ風味だとすれば、本作は全然違う。ドラムとベースは、その本来的な役目をどこまでも追求する。ギターは前景化せずに、控えめに下手へと追いやられる。それにも関わらず、衝動的というには、ちょっと不可能なほどの卓抜な演奏とリズムによって、Nomeansnoはおそらく当時としては、唯一無二の地平に立ち上がった。Wright兄弟が造りだしたのは、頭でっかちに鳴らず、どこまでもカビでありながら、汗でほとばしるスポーツに身を投じている。90年代を前に、パンクは確実に先鋭化し、生ぬるいロックンロールをアティチュードだけでなく、手法として更新にかかった。その急先鋒としてNomeansnoは、手を上げていたわけだが、カナダ産であるがゆえに、なんだかぱっとしなかったのではないか(と勝手に想像)。アメリカでは、グランジが爆発ののろしをあげ、そして世界征服を始めるときである。カナダ産?ハードコア?だせえ。まじめに、スポーツやってろよっていう。俺たちはだらだらシャツダルダルで部活なんてシネーよ。かっこいいだろ。確かにグランジとかジャンクはかっこよい。それでも、Nomeansnoのスポーツマン精神は、20年以上たって、まじめにパンクを追いかける人たちの心にしっかりと突き刺さっていると思う。今ではボートラ付きでリイシューされて、比較的容易に入手できるので、是非どうぞ。