Bob Dylan : Blonde On Blonde
ARTIST / Bob Dylan
TITLE / Blonde On Blonde
LABEL / columbia
DATE / 1966
TITLE / Blonde On Blonde
LABEL / columbia
DATE / 1966
1790。7thくらい。Bob Dylanの盤を初めて聴く、28歳の夏の終わり。Lサイドによれば、アメリカではもはや現代文学として取り扱われるBob Dylanの世界は、ポップスから取り外されたわけだ。この、あまりに肖像的な1枚が物語るのは、ただのストレートではない、らしい。歌詞が知りたきゃ検索すれば良い。66年、Dylanは25歳。世界では、東西ともに偉大なるBたちによって、重要な盤が提出された。フォーク、というか反戦歌という文脈から派生した彼の方向性は、音楽よりもその言葉に重要性が置かれているのだろう、と考えてきたこれまでの僕。それは決して間違ってはいないと思う。音楽的な実験ではなく、彼はメッセージを選んだ。そう考えていた。この盤には11の異なるバージョンによって成立しており、そこにはDylanの分厚い水銀の流れが横たわっているということも知らずに。心地よいハーモニカ。ときにThe Bandを引き連れて、彼は音楽を考えていた。ぶっきらぼうに歌う。いやさ、ときに祝祭的に。Dylanは付け上がる。彼がやってのけたのは、当時にしては珍しいアナログ2枚組みの大作であり、最後の曲は異例の11分に及んで、LPの1面を埋め尽くした。取り立てて有名な曲があるわけではないけれども、ウタ歌いのモールドであり、魂の前衛である。もはやわれわれの時代、若者がDob Dylanに心酔することはなかろう。しかし、時代が承認した彼の歌は、宇宙を飛び越えて、広がっていくのである。