Matthew Herbert : Score
ARTIST / Matthew Herbert
TITLE / Score
LABEL / accidental / studio !k7
DATE /20071
TITLE / Score
LABEL / accidental / studio !k7
DATE /20071
1701。もはや、やってることはハイカルチャルな部類に入りだした貴公子。ポピュラー音楽界における数少ない天才の1人であることは、みなさん首肯する状況でしょう。しかもこの天才、変態性をスタイリッシュに隠すところが、いやらしいです。これからもクラブという枠組みで勝負するにはするのでしょうが、それだけでは満足できないからしょうがない。本作は、そんな彼が書き散らした映画や舞台用の音楽作品集です。M4では小粋に'Singing In The Rain'のカバーなんかもやっちゃってます。ビッグバンド風のナンバーが並びますが、そのクリアでヒップなサウンドは、やっぱりクラブをお洒落に賑わせてきただけはあります。すべてのトラックに隙がなく、正直いやになっちゃいますが、音楽のテクスチャやセンスに誰よりもうるさいLサイドが傾倒する作家だけはあります。その音の一粒一粒が、まさにその粒感覚が、僕たちに音楽の進化を実感させてくれる。次の話をするために、Matthew Herbertは何かを模索する。そのコンセプトが、時に形骸化した、もはや語るには現実的過ぎるものであったとしても、彼の音楽はそれを現実から引っぺがし、豊かな音楽体験として示してくれる。コンセプチュアル・アート全般に圧倒的に掛ける洗練を、彼は持っているからこそ、僕は彼を嫌いにならない。その説得性は、どこまでも彼が生み出す音楽に由来するのだと思う。現在は〈One〉3部作を発表しているMatthew Herbertの思想と音楽は、まだまだ枯渇することはないだろう。がんばります。