David Shea : I
ARTIST / David Shea
TITLE / I
LABEL / sub rosa
DATE / 1995
TITLE / I
LABEL / sub rosa
DATE / 1995
1571。myspace。以前紹介した盤"Tryptich"。90年代以降の実験音楽においてこの人ありとさえ言える存在、それがDavid Sheaです。もはや大きな神話が崩壊して久しいわけですけれども、彼は非常に人文的な知を根幹に据えながら、しかし一方で何でもありの小さなパーティクルを混ぜ合わせて制作を続けている。非常に不可解な身振りを持っており、sub rosaの誇りのひとつとさえいえるでしょう。本作でも電子と有機的楽器を適度に練りこみながら、いわゆる現代音楽的なコンポーズの複雑さにM2で見せるエキゾチックなムードを加えたりする。あるいはM3のように、アニメの効果音のようなもので遊んでみたりという茶目っ気も見せてくれる。かなり雑多な音楽的素養、そして文化的背景を減少させながら、シリアスにことを運ぼうとするDavid Sheaは正直なところ今の時代にはそぐわないものである。彼は不遇の時代を生きているのだ。解決方法を提示するということではなく、そのような事態があるということをまず認識するところからはじめよう。その上で、もはやSheaの試みは時代錯誤でしかないのか、あるいは今後数十年もすれば偉大なる音楽家列伝に参与する資格が与えられるのかを考えて見れば良いと思う。個人的にいえば、すごく楽しめる内容ではあるが、現代的な洗練という意味で少なくとも本作は役不足である。といってももう14年近く前の盤なのだが。