電気グルーヴ : ビタミン
ARTIST / 電気グルーヴ
TITLE / ビタミン
LABEL / ki/oon Records(sony music)
DATE / 1993
TITLE / ビタミン
LABEL / ki/oon Records(sony music)
DATE / 1993
1492。4th。本作を境にさらにいわゆるテクノ音楽へと傾斜していくことになる1枚。wikiによれば、レイブ文化の成熟したロンドンに渡った石野卓球がアシッド・リバイバルに直面したことによりTB-303を全面的に採用する本作を計画したという。当時は、セールスが見込めないという理由でレコード会社も難色を示したが、インディー時代の曲'無能の人'を改名した'N.O.'でラストを飾るという条件のもとなんとかリリースに持ち込んだという。この頃はもちろんまだまりんこと砂原良徳も在籍しており、本作でもM3M6で非凡な才能を示している。ピエール瀧も作詞だけでなく古参ファンには喜ばれるらしいM5では作曲も担当している。1993年というのは言うまでもなく、日本のテクノ史において(すなわち卓球がこの年の名盤3枚をテクノ三種の神器として設定した)重要な年である。同時代性を確保するために、この盤はなんとしてもリリースされなければならなかったのだろう。お恥ずかしいことに、僕はそれほど電気グルーブに思いいれがあるわけではない。卓球さんには興味があるがWireには言ったこともない。瀧さんは俳優とタレントだけしとけばいいのにという気持さえある。電気グルーブが売れてない頃からダウンタウンの熱狂的なファンであったことは知っていた。居酒屋で東京来たての高須さんかモツモローに「ファンです」的な挨拶に言った話は有名である。まりんのソロ作は結構ストイックだったと思うけど、あんまり詳しくない。ナゴミレコードに興味があるけど、そこに行くのは多分定年過ぎてからだろう。そんな電気である。それほど思い出を持ち合わせていないのです。本作を聴いても、歌の乗せかたがちょっと好みではないですし(これが電気らしさだと思うが)、下地も成立してそうで軽薄な印象を受ける。細部がないとでも言いましょうか。まあゆーても、単なる素人の趣味ですから、スルーして欲しいのですけど。フロアではかなり生えそうな曲が並んでいるのはたしかです。そう考えると細部にこだわっても仕方ないわけですね。個人的にはM7でGershon Kingsleyの名曲'Popcorn'をアシッドにカバーしているのはかなり好きですし、M8の4つ打ナンバーもかなり力強い。M9では電気では唯一というアンビエントが提示される。なんとなく、テクノ三種の神器を散りばめましたよ、という全体である。当然といえば当然だが。しかし僕の好きな根暗ヘッドフォン・ミュージックではないですし、彼らもそこから遠いものをつくろうとしているでしょうから、まあそういうすれ違いなんでしょうね。電気の盤のなかでも画期的な1枚ということなので、傑作ラベル付けときます。てか'N.O.'が名曲だということはさすがに知ってますので、聴いてあーこれこれ、と思いましたです。