JD King & The Coachmen : American Mercury
ARTIST / JD King & The Coachmen
TITLE / American Mercury
LABEL / ecstatic peace!
DATE / 2005
TITLE / American Mercury
LABEL / ecstatic peace!
DATE / 2005
1420。The Coachmenは1979年には解散してしまったバンドである。sstの下部レーベル(MinutemenのMike Wattらが立ち上げた)new alliance recordsより唯一の音源がある。そこに所属したのはまだ年端のいかぬThurston Mooreその人であった。JD Kingはニューヨークにおけるパンクとアートの隆盛に魅了されてたどり着いた。現在はイラストレーターとしても活躍しいているという。ThurstonがSonic Youthを構築するに当たってこのThe Coachmenの存在は大きかったに違いない。それゆえecstatic peace!から新生The Coachmenの盤が出ることもそれほど当然の成り行きである。本作はいい盤である。ギターが不穏な音を出していながらも、暗黒へと堕することなく、妙なテンションを保っている。洗練を拒むようなスタイルはそれだけで成立するような形式を要求する。それがなかなか難しいゆえに、多くのバンドには洗練こそが要求されてしまうのである。しかしThe Coachmenはそれを必要としない。強い。それで成立してしまうならば、他のバンドが馬鹿らしくなるかもしれない。しかし、洗練よりも難しいものがある。バランス感覚なぞは修練しても手に入らないのである。きわどい。ぎりぎりの感性がギターによって出力される。もう一度言おう。かなりいい盤である。おそらく当時のThe Coachmenとは違うのであろう。しかしJD Kingが安室化したとしても残されたThe Coachmenという名前は響き、過去への探究心を誘うのである。買え。